先日、地元の飲食店を利用した際、違和感を覚えました。従業員の胸元に名札が無かったのです。現在、サービス業の「名札レス」化が進んでいます。
実際、九州各地にファミリーレストランを展開するジョイフルは、個人情報保護を理由に2023年5月から名札の着用を取りやめているそうです。すでに22年7月、セブン-イレブンの従業員の名札からは、顔写真を無くしています(2022年7月以前の顔写真付名札の使用は個人の判断で使用)。
サービス業だけでなく、役所でも「名札レス」は進んでいます。佐賀市では、表示をフルネームから苗字のみ表記に、徳島市ではひらがな表記に変更したそうです。
そもそも、接客業において従業員が本名を名乗る必要性はどのような場面で生じるのでしょうか。常連を大事にする業態では、従業員の氏名公開が信頼や親しみに繋がるかもしれません。実際、手作りでニックネームが書かれた名札を付けた従業員がいる飲食店も見かけます。一方で、チェーン店など名前を覚えてもらうメリットが薄い業態では不利益の方が大きいことが想像できます。
実際、コンビニエンスストアで働く知り合いの学生が、実名で低評価の口コミを書かれていたこともありました。インターネットが発達した昨今、名前一つで詳細な情報が手に入ってしまいます。悪用されれば、本人の生活に大きな支障を生みかねません。昨年、香川県観音寺市の職員の名前がSNSで悪用される事件も起きています。その後、同市は職員の名札表記を名字のみに変更しました。
管理者は今後、名札に関する選択を迫られるはず。長所と短所を見極めて、顧客だけでなく従業員も安心できる環境を整えることは必要不可欠です。
名札はフルネームから名字だけの表記に…SNS特定、ネットに晒される「カスハラ」対策 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
2023年6月13日付
徳島市、市職員の名札を「ひらがなの名字」表記に – 日本経済新聞 (nikkei.com)
2024年2月26日付
徳島市職員の名札、平仮名の名字のみに SNS対策、来庁者にも便宜 [徳島県]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
2024年2月29日付