本日の新聞各社のスポーツ面では、最速の10場所で優勝した「尊富士」の活躍が大きく報じられています。筆者は、祖父母がテレビで見ていれば一緒に見る程度でしたが、昨日はテレビ中継にくぎ付けになって優勝の瞬間を見守りました。日本の国技である相撲ですが、最近は日本人の活躍というよりもモンゴル出身力士の活躍のほうが目立っていたので、110年ぶりの新入幕優勝、しかも日本人力士とあって、なんとも素晴らしい結果だと思います。
相撲に限らず、日本人スポーツ選手は、海外リーグでの活躍やオリンピックをはじめとする主要大会でのメダル獲得など、海外選手と比べると体格で劣るとされるハンデを乗り越えて対等に戦えるようになってきています。例えば、「22年に開催されたサッカーカタールW杯での、日本人選手たちの活躍」や「昨夏のFIBAバスケットボール2023を3勝2敗で乗り切り、パリオリンピックの出場権を獲得した日本代表」などが挙げられます。
こうした飛躍の背景には、2つの理由があるのではないかと筆者は考えています。1つ目は、海外リーグなどの新しい環境に挑戦する日本人アスリートの挑戦心の高まりです。以前は、「体格で劣る日本人には無理」という先入観にとらわれ、日本国内で結果を残してから海外に挑む選手が多かったように思います。しかし、先陣をきるかのように海外に出ていこうとする勇気をもった選手が数年前から増えてきました。その結果、サッカーではオランダやドイツなど欧州リーグで活躍する10代のプレイヤーが誕生しています。これは一例で、着実に選手たちの力がつきはじめています。そして、これらの海外勢が日本の代表に選ばれ、チームをけん引しています。
2つ目は、的確な指示ができる組織や指導者といったサポート環境の向上です。朝日新聞デジタルが運営しているバスケットボールの特設ページで、高校バスケで結果を残し続けている福岡第一高校の井手口監督を取り上げ、「指導者たちのレベルが向上したことで、全国どこにいても子どもたちが共通の考え方に基づいた指導を受けられるようになった」と紹介していました。バスケの世界にとどまらず、サッカーや野球、フィギュアスケートなど他の競技にも共通する点だと思います。
一方で課題もあります。それはスポーツ人口です。とくに高校球児の減少ペースは悲惨な状態です。少子化の進む速さよりも急速に落ち込んでおり、これからは全国的にチームを組むことができない学校が続出するといいます。こうした中で、弾道測定器などのICT(情報通信技術)を取り入れた練習を行う高校も多くなってきており、時代に合わせた選手指導で解決策を見出していくといいます。
スポーツ観戦が趣味の筆者。課題は残りますが、今夏にはパリオリンピックも控えています。希望に満ちた日本人選手の活躍がますます楽しみです。
【参考記事】
25日付 日経新聞朝刊 (12版)37面(スポーツ2)「尊富士が新入幕V」関連記事39面
25日付 読売新聞朝刊 (14版)1面「尊富士 110年ぶり新入幕V」関連記事23、31面
25日付 朝日新聞朝刊 (14版)1面「尊富士、110年ぶり新入幕V」関連記事9、22面
朝日新聞朝刊 (13版)11面(スポーツ)「選手を育てるアップデート」
日経新聞 電子版 (24年3月10日)「高校球児、25年後はピークの7割減 次の大谷どう育成(1億人の未来図)」
【参考資料】