自己主張しないって悪いこと?

就活の際、集団面接で、どんな人が苦手ですか?という質問がありました。それぞれが思い思いに自分にとって苦手な性質を話していく中、「私は自己主張をしない人が苦手です。」と答えた人がいました。

自己主張をしないことは良いことなのでしょうか、ダメなことなのでしょうか。

何かグループで物事を決めるために「どこがいい?」や「どっちがいい?」などと質問を相手に問いかけた際、「どこでもいいよ~」「どっちでもいいよ~」の返答をされることがあります。筆者は、その返答に対して何の感情も抱かず、「じゃあ私が決めちゃうね~ここにしよ!」と返信します。しかし、人によっては「どっちがいいか言って欲しい」「何か意見を言って欲しい」と思う人もいるのではないでしょうか。

一方、クラスや部活動など、集団で物事を決める時はどうでしょうか。話し合いでの「何をしたいですか?」「どうしたいですか?」の問いかけに対し、意見を出すのは毎回同じ人ではないでしょうか。過半数の人は、ほとんど発言せず「なんでもいいよ~」のスタンスでいるように感じます。しかし、もし仮に、その場にいる全員が自己主張をし、意見を出した場合、どうなるでしょうか。一人ひとり発言する分時間がかかりますし、その集めた意見を一つに絞ることは難しそうです。また、人数が多ければ多いほど、全員が納得するような、平和的な解決へ導くことは難しいかもしれません。

私は、自己主張がないことは決してダメなことではないと思います。確かに、誰かが意見を出さないと物事は決まりません。しかし、全員が全員自己主張をしていては、決まるものも決まりません。平和という文字もないでしょう。自己主張をする人がいる裏には、自己主張をしない役割を担う人もいるわけです。

「日本人は自己主張がない」とよく言われます。私は、それも一つの日本人の良さだと思います。自己主張する人しない人、どちらが欠けてもこの社会は成り立ちません。「どっちでもいいよ~」「なんでもいいよ~」の中にはきっと優しさも含まれています。だから、そのような人を単に「自己主張のない人」と呼ぶ、というのはなんだか違う気がします。

それぞれにそれぞれの性格、考えがあり、優しさの形があるということを、心にとめておきたいものです。