ルッキズムを助長させるものとは?

ルッキズムとは、容姿で人を判断し偏見を持つといった容姿差別のことです。留学して実感したのは、日本で美容に関する広告がいかに多いのかということ。電車に乗れば脱毛の広告、ソーシャルメディアを開けば二重まぶた整形の広告。スペインに来てから二か月が経ち、現在では、そのような広告から完全にシャットアウトされています。

中学校に入る頃には、「白くてすべすべの肌、二重まぶた、やせた体型が良い」ということを私たちは認識していたのです。日焼け止めクリームや日傘、アイプチを使ったり、ダイエットをしたり。学校という狭い世界で過ごしていると、そのような「美の基準」を絶対視してしまうのでしょう。クラスメイトの「一重まぶたなのに、あの子はかわいい」という言葉を聞いては、一重まぶたの一体どこが問題なのだろうと疑問に思ったものです。

留学当初は、ブラジャーを着けなかったり、体毛を処理しなかったりする女性を見て、とても驚きました。日本では、「して当然」とされていたからです。アルバイトで稼いだお金を脱毛に費やすような学生もいたほどです。しかしすぐに、ノーブラや体毛に何の問題もないのに、私は違和感を感じたのだろうと思い直しました。

「理想の容姿になる」ために努力することを、私は一切否定しません。しかし、社会的に「美の基準」が作られ、それが当然のように受容されていることには、疑問を感じざるを得ません。公共空間やソーシャルメディアに、膨大な数の広告が出されていることは、健常だとは思えません。自分の容姿に不安を感じさせたり、ルッキズムを助長させたりする恐れがあるからです。かつて私は自身の容姿があまり好きではありませんでした。日本における「美の基準」から外れていたからです。しかし、美の基準は、一つではありません。現在は、自分の容姿に対して感情をとくに持たなくなりました。ただそこにあるものとして受け入れています。

近年、10代の美容整形が急速に増えており、摂食障害を患う人も少なくありません。美容の広告のあり方を問い直す必要があるのではないのでしょうか。

 

参考記事:

10月26日付 (摂食障害×働く)周囲に話せず、仕事上の困難8割:朝日新聞デジタル (asahi.com)

6月1日付 高校合格のご褒美に二重まぶた 10代に広がる美容整形を考える:朝日新聞デジタル (asahi.com)