全国のTBS系列局では、本日から20日までSDGs(持続可能な開発目標)を考える番組が放送されます。筆者の通う大学の博物館でも、15日よりSDGsに沿った企画展が開催されます。コロナが5類に移行され出かける機会が増えたことから、行った先で様々な意見を聞くことが増えました。中でも「SDGs」は以前にも増して耳にするようになったと感じています。
13日付の読売新聞には、GX(グリーントランスフォーメーション)推進法が成立したことを受けて、企業の脱炭素を後押しするためには2023年度からの10年間にGX債で20兆円を発行することが必要とされるとの記事が掲載されていました。確保した資金は次世代燃料の水素やアンモニアの供給網の整備などに充てられます。GX推進法の起点には、2020年に当時首相だった菅さんが所信表明演説で語った「2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする。カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」との宣言があります。当時の私は、排出ゼロは今の日本の産業構造をみると無理だろうと思っていましたが、今回のGX推進法のみならずEVなどへの取り組みをみると達成できるのではないかと思うこともあります。
今回は17あるSDGsのテーマのうち気候変動など自然環境に注目して考えていきたいと思います。まずSDGsとは何か、外務省のHPを引用し簡単に説明したいと思います。SDGsは、2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継として、15年9月の国連サミットで全会一致で採択されました。30年までの達成をめざす17のゴール、169のターゲットで構成され、持続可能でより良い世界を目指す国際指標です。
日本国内でも、職場や大学でSDGsを意識した活動が広がっています。先日、相模原市役所に寄る用事がありました。そこで見たのが自販機を利用した取り組みです。一般的なアルミ缶ではなく、国産間伐材を使用した紙製容器(カートカン)の飲料が売られ、自販機そのものはカーボン・オフセットベンダーと呼ばれる電気を使っていてもCO₂の排出量は実質ゼロという優れものです。実際に飲み物を買ってみましたが、意外としっかりとした材質です。ふたは紙テープでとめてあり、高齢者の方でも飲みやすい仕様になっていると感じました。
また、12日付の朝日新聞夕刊には、クジラの商品を自販機で販売することが海のSDGsに貢献するという記事が載っていました。クジラ全体が食べる水産資源量は、人間の漁獲量の3~6倍に相当します。そのため、クジラの食べる量を人間の為の資源に活用していこうと考えで、SDGsの14番目の目標にある「海の豊かさを守ろう」に繋がるというのです。今までは、自動販売機=飲み物を買うためのもので、電気を浪費するため、地球温暖化の原因になっていると考えてきましたが、SDGsへの様々な可能性を垣間見ることができました。
近年では、「ネイチャーポジティブ(自然再興)」という言葉も聞かれるようになってきました。環境省によると、生物多様性の損失を食い止め、回復軌道に乗せることを意味します。30までの実現は、50年ビジョンの達成に向けた短期目標となると説明されています。この考えは国内外で共有され、国内では「ネイチャーポジティブ研究会」などが始動しています。ここ数年で発案された考え方だけに何がポジティブで何がネガティブなのか、定義そのものがアバウトである印象は否めません。改善の余地があると思いますが、30年に向けた社会の変化を注視していきたいと思います。
環境問題は、企業努力だけでは解決できるものではなく、一人一人が変えていかなければ解決するとは思いません。学生でも日常生活の中で様々な取り組みができます。例えば、ペットボトルの飲み物を買わないで水筒を持参したり、最近増えている環境に配慮した商品の利用を心がけたり、さまざまな形で貢献できます。
先にも挙げたとおり、明日から、私の通う大学では「黄檗禅と煎茶」と題したSDGsの「質の高い教育を」など3つのテーマに関する企画展が開催されます。自販機が様々な問題への解決策につながることを知ったように、今後はSDGsの幅広い側面に目を向けていきます。
参考記事
13日付読売新聞朝刊(13版)2面(総合)GX推進法が成立 脱炭素後押し「移行債」20兆円
12日付朝日新聞夕刊(4版)1面クジラ食べる=SDGs?
参考資料
外務省 JAPAN SDGs Action Platform
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