SNSアイコン、使い方間違ってませんか

「著作物利用 緩い日本」

4月28日の読売新聞の朝刊では、生成AIの著作物利用についてこのような見出しがつけられていました。しかし、法的保護が緩いのは生成AIに限った話だけではないのかもしれません。

「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」

著作権法2条1項に規定される著作物の定義です。具体例としては論文、小説、CD、映画、写真、漫画、地図、コンピュータープログラムなど。私的範囲を超えた利用、無断転載や頒布は侵害行為となります。

近年、違法ダウンロードや海賊版漫画サイトなど著作権に関わる問題が取り上げられることが増えています。そのため著作権法がどんな内容か、なんとなく分かったつもりの方も少なくないでしょう。

ですが、その「なんとなく」の理解、もしかしたら誤った情報をあなたの頭の中に植え付けているかもしれません。

「芸能人アイコン」「アニメ・キャラクターのアイコン」「他人が撮影した動植物や風景の写真」を用いたSNSのアイコンは本来、著作権の侵害にあたります。しかし、このことを知っている方はどれほどいるのでしょうか。実際私が知る範囲だけでもアイドルや芸能人、有名なキャラクターをSNSのアイコンとして利用している人は友人を含め多くいます。

「何をやっているか知らないことほど恐ろしいことはない」

ドイツの有名な詩人ゲーテの言葉です。

筆者も恥ずかしいことですが、知らずに動物の写真を使ってしまったことがありました。まさにゲーテが残した言葉通りでした。

著作権の侵害は、営利目的によるものでなければ原則として親告罪です。そのため、権利者が告訴しない限り、基本的に処罰されないということになります。もちろん権利者によっては、「使っても問題ない」「認知してもらうためにも使ってほしい」という方もいるかもしれません。ですが、全員が同じ考えとは限りません。

2019年には、札幌市の写真家、縄田頼信さんが告訴した大阪府内の女子大生が、著作権法違反の疑いで書類送検されたという実例もあります。

悲しい結果を招かないためにも、注意喚起を続ける必要があります。とくに近年はスマホを持ち始める時期の低年齢化が顕著です。NTTドコモモバイル社会研究所の調査によれば、スマホの保有開始年齢の平均は10.6歳。キッズケータイの所有開始年齢は7歳が一番多いそうです。

話題となっているAIだけでなく、使う側の人間も身近なところから著作権物の利用を見直す必要があります。私も少しでも誤った使い方が広がらないためにも友人に話してみようと思います。

緩くなっている原因は足元にもあるのですから。

 

参考記事

28日付 読売新聞朝刊(東京12版)1面(総合)『著作物利用 緩い日本 生成AI 作者団体「学習」に懸念』

参考文献

朝日新聞クロスサーチ2019年12月18日(北海道)25面「後絶たぬ画像無断使用 SNSアイコン、権利侵害」

https://xsearch-asahi-com.glim-ezp.glim.gakushuin.ac.jp/kiji/detail/?1682658305496

著作権法 e-Gov法令検索

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048

モバイル社会研究所「スマホの所有開始年齢 低年齢化は鈍化傾向」2023年2月27日

https://www.moba-ken.jp/project/children/kodomo20230227.html

リーガルモール「そのアイコン、著作権は大丈夫?SNSで気を付けるべきポイントを解説!」2023年4月27日

https://best-legal.jp/icon-copyright-54042/