「マイナンバーカード」という言葉を耳にするようになって久しいと思います。筆者の肌感覚でも、数年前から聞くようになり、最近ではテレビや紙面で頻繁に目にするようになりました。
政府と地方自治体は、マイナンバーカードの普及を急いでいます。事業は、これまで取得率の低さに悩まされてきました。7月の時点での申請率は約45パーセントと、関係者の期待を裏切る数字でした。もっとも「マイナポイント」と呼ばれるポイントの付与サービスを強化したおかげか、最近になって申請数は6割を超えたようです。
政府サイトによれば、マイナンバーカードとは「プラスチック製のICチップ付きカード」で、「券面に氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーと本人の顔写真等が表示され」「本人確認のための身分証明書として利用できるほか、自治体サービス、e-Tax等の電子証明書を利用した電子申請等、様々なサービスにも利用」できるものです。
先日、区役所に行ってきました。筆者の用事は全く別だったのですが、マイナンバーカード関連の手続きをする人が数多く見られ、様々な疑問の声が聞こえてきました。その中でも印象に残ったものを紹介します。
1 . 「マイナンバー」と「マイナンバーカード」の違い
住民:「マイナンバーを取得したいのですが」
職員:「えっと、みなさんは既にマイナンバーを持っています」
住民」「え?」
こんなやりとりです。
「マイナンバー」とは、日本に住民票のある全ての個人に対して、政府が自動的に振り当てた番号のことです。「個人番号」と呼ばれることもあります。知らないうちに付けられているので、取得申請の必要はありませんし、拒むこともできません。
対して「マイナンバー・カード」とは、マイナンバーが記載された個人写真付きのカードのことです。こちらは、取得するか選ぶことができます。
明確に区別できていると、関連の書類をスムーズに読み進められるかもしれません。
2. 国外から転入する場合
先ほど「マイナンバー」の定義を示しましたが、ここで問題になるのが「日本に住民票のある」という部分です。国外に転出しており、日本に住民票がなかった人が帰国した際、いつ出国したかによってマイナンバーが振り当てられている人といない人がいるようです。窓口の人も戸惑っていました。
マイナンバーが付番された平成27年10月が境目であるようです。それ以前に出国した人は、まだマイナンバーがないため、すぐにカードの申請はできません。一方、それ以降に出た人は、既にマイナンバーがあるため、転入届と同時にマイナンバーカードの交付申請書が可能だということです。
例えば、夫が平成27年8月に転出し、少し遅れて家族が平成27年12月に転出した場合、帰国して一緒に役所を訪れたとしても、家族はすぐにマイナンバーカードを申請できますが、夫はマイナンバーが付番されるまで手続きを間待たなければいけないことになります。
これでは不便ですので、海外に住む日本人にマイナンバーカードの交付を在外公館でもできるように、政府は新たな法改正を進める予定とのことです。
ここまで、区役所で実際に交わされた疑問と回答を見てきました。マイナンバーカードの可能性と問題点はまだまだ未知数のところがあります。とはいえ持っていた方が便利だと思う方は、申請してみてはいかがでしょう。
(ここでは、役所で申請をしている人の話をしましたが、特別な事情がない限り、申請は郵送かオンラインで完了します。役所に足を運ぶ必要はありません)
参考記事
17日付 日本経済新聞朝刊(東京)4面「マイナンバーで新規給付、柔軟に 手続き簡素化へ法改正案 支給まで1年に短縮」
参考資料
朝日新聞デジタル(2022年11月28日)「マイナンバーカード申請率が60%超え 総務が公表、交付は53%」
https://www.asahi.com/articles/ASQCX63TFQCXULFA00L.html
マイナンバーカード総合サイト(2022年1月17日、最終閲覧)
https://www.kojinbango-card.go.jp/card/
福岡市 マイナンバーカード公式サイト(2022年1月17日、最終閲覧)https://www.city.fukuoka.lg.jp/qa/seikatsu/mynumber.html
総務省公式サイト「マイナンバーカードでマイナポイント」(2022年1月17日、最終閲覧)https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/