覚せい剤は清原のためにあるのか~!←そんな訳あるか!

プロ野球のキャンプが始まり、選抜高校野球の開幕を控え、我々野球ファンがワクワクし始める中、昨晩、怒りに震える出来事が起きてしまいました。彼の名をこのような形で聞くのは、非常に胸が痛みます。今日は元プロ野球選手の清原和博容疑者の逮捕を受け、彼の影響力について考えていこうと思います。あらたにすを始めて約2年、執筆でこれほど辛い思いをするのは初めてです。

2日、自宅で覚せい剤を所持していたとして、警視庁は元プロ野球選手の清原和博容疑者(48)を覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕しました。清原容疑者は容疑を認めており、4日の朝刊では使用目的での所持との供述が掲載され、使用についても捜査が進められています。警視庁は既に情報を得ており、14年から内偵捜査を進めていました。週刊誌に覚せい剤使用疑惑が出て以降、メディアへの露出も大幅に減少していましたが、昨年の春以降、徐々に出演回数を増やし、8月にはバラエティー番組で使用を否定してました。今朝の朝刊でもプロ野球関係者や母校PL学園関係者からも驚きや落胆の声が各紙で掲載されています。甲子園通算13本塁打を放ち、西武、巨人、オリックスで活躍した球界のスターがなぜここまで転落してしまったのか、今後の捜査や公判での発言に注目が集まります。

ここ数年、プロ野球の地上波中継数が激減し、野球解説など、元選手の収入源も減少の一途をたどっています。タレント活動ができる人間はごくごく一部です。元選手が再就職に苦しむという話は筆者も何度も耳にしていますし、特番も毎年放送されています。清原容疑者のような数多くのタイトルを持つ巨人の大物選手も例外ではなかったのでしょう。加えて引退後には離婚し、子供と離れて暮らさざるを得なくなりました。仕事と家庭の両面で不安定な状態に陥った彼の精神が覚せい剤を求めてしまうことは不思議なことではなかったのかもしれません。ましてや入団当初より華々しいプロ野球の第一線で活躍してきた彼にとって、引退後の生活との落差も誘惑に負ける追い風になってしまったのでしょう。

しかし、かつての輝きを失ったからといって、「じゃあ、今回だけは見逃しましょう。」というわけにはいきません。当たり前の話ではありますが、彼は元選手とはいえ、人前に立つ人間であることに変わりはありません。法律を犯したということ以上に、人前に立つ者として一般人以上に高い順法意識が求められるはずです。ましてや、人気が落ちてきたとはいえ、今も昔もプロ野球選手はスターです。その中でも彼は名球会会員、大スター中の大スターです。全国の野球少年やファンの夢を壊し、子供たちに元スター選手としての模範を示せなかったこと、この罪は覚せい剤を使用したこと以上に重いでしょう。この罪は一生かけて償わなくてはなりません。いや、償っても償いきれないでしょう。巨人のクリーンナップを務め、当時、彼の打席にお茶の間で目を輝かせていた筆者は、それくらい重い罪だと断罪せずにはいられません。

筆者が彼の責任の重さを主張する理由はそれだけではありません。もう一つは、彼が挫折を経験していることが挙げられます。清原容疑者は名門PL学園で1年時から4番を務め、甲子園通算13本塁打、5期連続甲子園出場、そのうち2回の優勝を経験しています。盟友桑田真澄投手とともに「KKコンビ」と呼ばれ、人気を博しました。根っからの巨人ファンで、卒業後は巨人への入団を希望していました。しかし、1985年のドラフト会議で巨人が指名したのは、同じPL学園の桑田でした。桑田は早稲田大学進学を希望しているにも関わらず、巨人は強硬指名。そして清原は西武から指名を受ける結果となりました。会見では目に涙を浮かべていた姿が印象的です。このような挫折を経験しながらも、1年目から大活躍し、高卒1年目で打率3割ホームラン31本を放ち、レギュラーとして定着、2年目の日本シリーズでは、巨人と対戦し、優勝まで残り1アウトと迫った時、1塁で涙を流すその姿に胸を熱くしたファンは少なくありません。そして巨人を破っての優勝を勝ち取りました。

その後も実績を積み重ね、97年、遂に巨人に移籍することができました。しかも開幕は4番スタートという華々しいデビュー、巨人ファンにとって、これほどの栄誉はありません。このように、彼は希望が叶わなくとも、置かれた場所で最大限の努力をし、結果を出しました。その結果、巨人入団という夢を掴むことができたのです。 挫折を経験しながらも、見事にそれを乗り越えた当時の清原選手、子供たちに夢を与えることの大切さを教えてくれた真のスターでした。そんな彼が一時の快楽のために誘惑に負けてしまった逮捕時の姿、「あれほど悔しい思いをし、それをバネに頑張っていてた彼の姿はどこに行ったんだ!」そんな怒りと疑問が入り混じった複雑な思いが筆者の中で渦巻いています。

筆者は松井や高橋由伸、そして桑田も大好きでした。しかし誰よりも清原が好きでした。生え抜きではありませんでしたし、巨人移籍後は怪我や選手層の関係で思うような結果の出ないシーズンの方が多かった記憶があります。ですが、記憶に残るプレーが光り、スタジアム内外を問わない彼の派手さは、無垢な小学生だった筆者にとって、プロ野球の面白さを教えてくれた要素の一つです。2000安打と500本塁打を達成した名球会会員、実績も十分でした。そんな千両役者の久しぶりの「一発」は、あまりに大きいものでしょう。

キヨ、どうしちゃったんだよ。 早く戻って来いよ!

今回の事件は残念ですが、ファンとして最後まで彼を信じて待ちたいと思います。

参考記事:4日、3日付各紙朝刊清原容疑者関連面