皆さんは、藤田嗣治という画家を知っていますか?20世紀前半に活躍したエコール・ド・パリと呼ばれる「パリ派」の代表的な画家の一人で、フランスに帰化した後はレオナール・フジタの名でも活動していました。
おかっぱ頭に丸眼鏡。これだけでもインパクトがありますが、もう1つ、彼を特徴づけるのが左手首にある12時を指す腕時計のタトゥーです。彼は人と会う時、つまらなければ時計を見て「もう12時だ」と帰り、楽しければ「まだ12時か」と遊ぶ口実にしていたそうな。
今でこそ、若者を中心にファッションとして認識し始められていますが、彫り物=ヤクザというイメージから、まだまだタブー視されているのも現状です。温泉やプールなど肌を露出する場所では、入浴お断りやタトゥーの入っている箇所を隠さなければならないなど、制限が設けられているところが少なくありません。戦後のGHQの改革の中で人権侵害の恐れがあるとして規制の対象外とされたため現行法上の規制は存在しません。
確かに日本では罪人に彫られていた歴史があったり、ヤクザが「カタギ」の社会との決別するために入れたりということもあるようです。ですが、こういった「和彫り」の流れとは関係なしに欧米文化の影響でおしゃれなものとして捉える見方も増えてきました。ジャスティンビーバーやBTSなど、若者に絶大な人気を誇るアーティストがタトゥーを入れているのも関係しているのでしょう。高校時代、友達とプールに遊びに行った時、ファッションタトゥーをしている人が警備員にしつこく言われているのを目にしました。理由に基づくルールがある以上、それは守らなければいけませんが、海外旅行客も訪れる昨今では、もしかしたら入れ墨=反社会的だと括ること自体、無理のあることなのかもしれません。
日本におけるタトゥーの認識は過渡期にあると思います。プールや温泉でタトゥーのある人がいたら不快感を拭えない人もいて当たり前と思う反面、グローバル化で旅行客が押し寄せ、海外の文化に触れる機会が増えれば、今までとは違う考え方が生まれるのも当然です。20代の約6割が寛容な見方をしているというデータもあり、今後ピアスのように個人の自由と認められる日が来るのでしょうか。
参考記事:
9月17日朝日新聞デジタル、「けいざい+ 変わる、働く髪色:下 『らしさ』こだわる日本、変化も」