ここ数年、立てこもり事件を多く目にするように感じます。今年6月21日には埼玉県川越市のインターネットカフェで22歳のアルバイト女性従業員が監禁される事件が発生。1月には埼玉県ふじみ野市で男が立てこもった末、医師を散弾銃で撃って殺害する事件が発生しました。
昨年6月には、さいたま市大宮区のネットカフェで立てこもり事件が発生しています。現場は、大宮駅発着の夜行バス乗り場の目の前。筆者も夜行バスに乗る際に、何度か事件現場近くを歩いたことがあったため、ニュースに驚いたことを覚えています。
20日、大宮区の立てこもり事件を起こした41歳の容疑者に逮捕監禁致傷などの罪で懲役20年の判決が言い渡されました。32時間にわたってネットカフェ従業員の女性を監禁し、首や頭に2週間のけがを負わせました。
ネットカフェで立てこもり事件が頻発してしまった以上、業界では安全対策の取り組みが今まで以上に求められることになります。21日付の読売新聞では、ネットカフェや漫画喫茶などの店が加盟する「日本複合カフェ協会」が、従業員の安全確保を店舗運営の指針に加えたことが報じられました。
ネットカフェは、ホテルとカラオケの中間のような印象です。宿泊目的で利用することができて、カラオケのように24時間入店することもできます。夜の会食が長引き終電を逃してしまった時に利用したり、日中でも空き時間にパソコン目的で立ち寄ったりできます。筆者はオンラインの会社説明会で、ネットカフェから参加していた学生を見たこともありました。
魅力は「安さ」と「終日営業」の要素が大きいと思います。最大手の「快活クラブ」では、3時間の利用で1,500円程度。深夜は割引が適用されて8時間滞在しても3,000円以下で夜を明かすことができます。さらに、学生は20%の学生割引を受けることができます。ほとんどのチェーン店で、身分証明書さえあればその場で会員になれます。
「快活クラブ」の22年3月期の売上高は前期と比較して、19.2%も伸びています。日経新聞によるネットカフェの業界調査では、「コロナ下で競争は激化しており、チェーンにより明暗が分かれている」と分析されていました。
競争が激化するネットカフェ業界は、今後どのように顧客を獲得していくのでしょうか。ファミリー層向けにカラオケやダーツができる店舗も増えてきており、女性向けに化粧コーナーの充実も図られているそうです。
更なる低価格化に舵を切ると、店内サービスの低下につながりかねません。店内の照明の確保や、安全対策に十分な予算を割いてほしいと思います。一方、金銭的な事情からネットカフェに身を寄せる人がいるのも事実です。そのような人に対して社会はどのように支援するべきなのか、ネットカフェの事情から考えさせられました。
参考記事:
21日付 読売新聞(埼玉13版)25面「ネットカフェ店員 守れ」
20日 朝日新聞デジタル 「ネットカフェ立てこもり事件、懲役20年判決『前例みないほど悪質』」
参考資料:
日経テレコン ネットカフェ・漫画喫茶の業界概要