毎週火曜日、楽しみにしている連載があります。読売新聞の「就活ON!」。現在大学3年生の筆者にとって、毎回異なる企業の人事担当が書くコラム「人事の眼」は、とても勉強になります。
先月20日、全国の国公私立大などでつくる就職問題懇談会で、来年の就職活動が2ヶ月前倒しされることが決まりました。4年生の6月から面接などの選考が解禁になります。会社説明会は3年生の3月解禁で前年と変わりません。実質的な就活期間は短くなります。就活が卒業論文の執筆の妨げになるのでは、と懸念していた西日本の国立大3年生の女子学生(21)は、「前倒しは歓迎」。一方、教育免許取得を考えている首都圏私立に通う男子学生(21)は、「4年生の6月は教育実習の実施と重なることが多く、迷惑だ」と話します。選考解禁の前倒しは、賛否両論あるようです。
また、就活期間が短くなることで企業研究などの時間が減り、その会社と合わない「ミスマッチ」の増加につながらないか心配する声もあります。立教大キャリアセンターの市川珠美・就職支援課長は「2月までに業界・企業研究や自己分析など、できる限り準備を進めてほしい」と呼びかけています。筆者にも、大学のキャリアセンターから「今からできる準備を」とメールが届きます。
2年連続で見直された就活スケジュール。背景には、「今年の失敗」があります。選考解禁が従来の4月から8月に繰り下げられましたが、企業の解禁破りが相次ぎ、学生の就活期間が長期化。中小企業を中心に内定辞退が続出し、産業界の不満が高まりました。
「人事の人も大変だなぁ」。選考スケジュールの改変に対する率直な感想です。もちろん、各社にとって採用活動も大切な仕事の一つです。しかし、中小企業と大手企業の間に大きな溝があるように感じ、「ルール破り」をどう捉えるかが問題だと思います。「良い人材は早く確保したい」という気持ちも分かります。しかし、それではきちんとルールを守る企業が不利になってしまいます。そもそも、たくさんの企業があるなか「よ~いどん!」で選考をスタートするのは、不可能なようにも思います。就職活動は会社、学生の両者にとって「将来と向き合う」大切な期間です。企業にも大学にも、そしてもちろん学生にも、本当に納得のいく就活スケジュールはありうるのでしょうか。
新日程は来年に限ったもので、再来年以降は未定です。2017年卒の就活スケジュールも、今回と同様に注目されるでしょう。
12月1日付 読売新聞朝刊(大阪14版)14面(くらし 教育)『就活ON! 6月選考解禁 2ヶ月前倒し 「ミスマッチ」増懸念も』