8月には連日何千人という単位で新規感染者が確認されていたのがまるで嘘だったかのようにここ最近の新型コロナの感染は落ち着いている。
もうこれでコロナともおさらばできるのか。
そう信じたいが、おそらくそれは違うだろう。確かに1000万人以上の人口を誇る東京での何十人は割合で言えばとても少ない。ましてや何千もの人が新規感染者として発表されているのを日々見てきた我々にとっては、ほとんどいないように感じてしまうかもしれない。けれども、感染症においては、「1人いる」という現状が数か月後の「何百人もいる」という状況を引き起こす。
上のグラフは過去一か月間の東京の新規感染者数である。ちょうど一か月前には80人弱が報告されていたが、10月下旬にかけ、減少していったことが分かる。11月からの赤線に注目して欲しい。20人から30人ほどの間で推移し、良い流れのように感じるかもしれないが、緩やかながらも増加傾向に転じている。
素人考えでは、こんなにも減少したらあと少しで以前の日常に戻れるのではないかと思いたくもなる。すでに第5波まで経験済みであるが、毎回ピークが来る前には多くの人がそう期待していたのではなかろうか。そのような「期待⇒感染拡大」の流れがもはや定着しているのと同様、その前には必ず専門家が「第〇波は来る」と警鐘を鳴らしていた。今もそうだ。この落ち着きを前にして、これまでほど大々的に報じられていないが、第6波の到来はやはり言われている。
収束を切に願うのも私たちだが、拍車をかけるのも私たちである。2020年初頭から始まったこの「コロナ禍」も、あと3か月で2年を迎えようとしている。ワクチンや新薬が開発され、感染、重症化のリスクは大幅に軽減された。そのような事実を前にして気が緩みがちだ。長い自粛生活を考えれば、それは当然の反動だと感じる。ただ、ウイルス自体が弱体化したわけではないし、人が出歩くほど感染者も増えるという基本は変わらない。
今日13日の東京における新規感染者数は24人。これが多くの人の目にどう映るか。それが、今後の局面を決めるといっても過言ではない。
参考資料:
NHK NEWS WEB、「コロナ感染“第6波”来る?いつ?対策は?専門家分析まとめ」、2021年11月12日
参考記事:
13日付読売新聞朝刊(東京14版)1面、「コロナ病床 3.7万人分確保」