フェスの中止は正解なのか

今年の夏も、コロナに楽しみが奪われそうです。先日、毎年茨城県で行われている、最大級の音楽フェスイベント、ROCK IN JAPAN FESTIVAL(ロッキン)の中止が発表されました。茨城県医師会の要請を受け、中止が決定したものの、アーティストや音楽ファンからは、多くの落胆の声が挙がっています。出演予定だったRADWIMPSの野田洋次郎さんはTwitter上で、「極めて個人的な思いとしては『ふざけんな』という気持ち」と赤裸々に綴っています。

中止が決まったのはロッキンだけではありません。7月10,11日に京都府で開催予定だった音楽フェス、京都大作戦2週目は、前日に開催中止(延期)が決定しました。地元住民から不安の声が挙がったためです。フェスは多くの人の理解や協力があって成り立つもの。地元住民の理解と協力なくして、開催はできません。

一方で、予定通り開催されたフェスもあります。さいたまスーパーアリーナで5月のゴールデンウィーク5日間にわたって行われた音楽フェス、VIVA LA ROCKです。会場のある埼玉県には当時、まん延防止等重点措置が適用されていました。しかし、音楽をとめてはならないという主催者の強い意志のもと、様々なコロナ対策を入念に講じて敢行しました。結果的に、コロナ感染者を一人も出すことなく無事閉幕しました。

「フェスを開催する」という決断には、主催者側の並々ならぬ覚悟と努力が求められ、簡単にできることではありません。それでも相次ぐフェスの中止にがっかりしてしまうのが正直なところです。地元住民の声が悪い、医師会の要請が悪い、などとは思いません。今のコロナの状況を鑑みても、クラスターが起きる危険性は大いにありますし、地元住民の不安な気持ちも痛いほど分かります。誰が悪いわけではありません。

東京には4度目の緊急事態宣言が発令、また沖縄県にでていた宣言と、埼玉、神奈川、千葉、大阪4府県のまん延防止等重点措置も延長に入りました。これに伴い、フェスに限らず様々なイベントが中止、延期を余儀なくされています。

開催することも、開催を中止することも、正解なのだと思います。どちらであっても我慢を強いられる人がいるのは事実だからです。正解と不正解の境界線が曖昧な今、自分の行動に確信が持てないかもしれません。正しかったのかは未来の自分にしか分かりません。後々振り返った時に、あの時はあの行動を選んで正解だったと思えるような、悔いのない決断をしていきたいものです。

 

参考記事:朝日新聞 愛知14版 1面 背水「4度目」効果は