「ヤングケアラー」を皆さんは、知っていますか?
大人の代わりに家事や介護といった家族の世話を担う子どものことを指します。こうしたヤングケアラーは、自分のために割ける時間が少なく、体調不良や学業不振といった問題を抱えがちです。
12日に厚生労働省が発表した初の全国調査で、ヤングケアラーは中高生でおよそ20人に1人の割合で存在することが明らかになりました。各クラスに1名はヤングケアラーがいる計算になります。
これだけの数でありながら、筆者の周りにはいないものだと思っていました。正しくいうならば、存在していないように感じていたのです。
新聞記事で目にして初めて、兄弟の世話のために早々に帰宅していくクラスメイトや、家族の世話のために遊びに来れない友人がいたことに思い当たりました。ヤングケアラーだったのです。
この問題が根深いものとなる背景に、「孤立」が挙げられています。そうであれば誰にも相談できません。今回の調査では、家族を世話している子どもの5〜6割が相談した経験がないと回答しています。その一番の理由は、「相談する程の悩みではない」でした。本人たちは、家族の面倒を見ることを当たり前のものとして受け入れざるを得ないと感じているのでしょう。一方で、彼らは平均してケアに4時間以上を費やしているという結果も出ており、事態は深刻です。
まず相談の窓口が開かれていない、周囲が気づき辛いといった問題を早急に解決していく必要があると感じます。
最近では、オンラインミーティングやLINEなどが浸透しています。「気軽さ」を生かし、足を運ばなくても簡単に相談できる環境、オンライン面談などを充実させるのは有効ではないかと思います。
行政や学校には相談し辛い。そこまで重い問題だと思っていない…。そうした事情で相談を諦めるケースは非常に多いと思います。筆者自身も「家庭の問題は、友人には相談出来ず、行政に足を運ぶ程の勇気はない」と思い、一人で問題を抱えた時期がありました。だからこそ、相談のハードルが下がることは大切だと感じます。
厚生労働省は今後、文部科学省とのプロジェクトチームをつくり、支援策を検討していくそうです。また、埼玉県ではヤングケアラーであった当事者や識者による授業や、教職員への研修を始めます。
誰もが、自らが主体となる人生を歩んでいけるはずです。家庭環境により選択が狭まることは絶対にあってはなりません。
13日付 朝日新聞朝刊(東京14版)1面 「家族の世話を担う子中高生の20人に1人」関連記事 3面 「相談できぬまま…孤立」
13日付 読売新聞朝刊(東京12版)2面「ヤングケアラー 国、初の調査」