平熱なのに!?入店拒否への訴え

5日、「まん延防止等重点措置」が大阪、兵庫、宮城の3府県に適用されました。 大阪市では「見回り隊」と呼ばれる、飲食店の感染防止対策の徹底を確認する組織が発足されました。「見回り隊」は、対象となる市内の約6万店舗すべてを訪れるそうです。飲食店への感染対策が今後さらに厳格になっていくことが予想されます。

松井一郎市長は、「見回りは摘発が目的ではない。マスク会食やパネルの設置などの必要性を誠意を持って説明し、協力してくれる店舗を増やしてほしい」と話している。

 

あくまで「摘発が目的ではない」としていますが、重点措置には罰則も含まれており、充分な威力があるといえます。感染防止対策を進めるなかで、マスク着用義務を怠る人や海外渡航歴のある人に対して入店拒否を行う飲食店も増えているようです。しかしながら、この徹底した対策にどうにも収まらない不満を抱く人もいました。友人はその一人です。

 

先日、緊急事態宣言が解除された後に、その友人とお店に訪れたときのこと。体温計で「37.1」と出たために入店を断られてしまったのです。彼女の平熱は37度。

「私、平熱が高いんです。」と訴えても、店の規則だと言われ、聞き入れてくれません。店の前で立ち往生しているところを周りの客に見られていたこともあり、肩身の狭い思いをしながら立ち去るしかありませんでした。

 

「体温を測られるのが怖くなった」

「感染していなくても容疑者のような気分」

友人の漏らした本音です。普段から体温が高い彼女は、食事をした直後などは特に代謝が良くなるためか37.5度を超えることもよくあるそうです。緊急事態宣言中は自粛を徹底していたため、感染している可能性は限りなくゼロに近いはずです。それでも万が一自分が感染していたら、と思うと店を訪れるのが後ろめたく感じられると話しました。

その一方で、自分のせいで入店できないことから、周囲の友人への申し訳なさもあるといいます。緊急事態宣言が明けたばかりで多くの店が早々にシャッターを下ろすなか、やっと見つけた店を締め出されてしまってはいたたまれない気持ちになるのも理解できます。体温が高かったため、店員だけでなく一緒に行った友達までが疑いの目を向けたこともあるそうです。

 

飲食店が対策を徹底することで多くの感染が抑えられる反面、我慢を強いられている少数の人もいるのです。私たちが向けるべき矛先は「ウィルス」なのであって、決して「人」ではないということを今一度理解しておかなければなりません。

 

参考記事:

5日付 朝日新聞デジタル 「大阪の飲食店見回りスタート 「摘発が目的ではない」」

https://www.asahi.com/articles/ASP4562TDP45PTIL030.html

5日付 日経電子版 「「まん延防止」3府県で初日 繁華街は静かに店じまい」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF027YE0S1A400C2000000/