私が利用する都営地下鉄の優先席には携帯電話の電源オフ、お年寄り、妊婦やヘルプマークを持つ方々などに席を譲るというルールが掲載されています。携帯が新しくなるにつれて使用する電波が弱くなったため、現在はペースメーカー利用者に対して悪影響を与えないという調査結果もあるそうです。これを踏まえて、社内の携帯ルールを変える方向で検討する鉄道もでているようです。つまり、優先席付近であっても携帯の電源を切らなくても良いということです。
この記事を読み驚きました。でも、これが本当であるとすると楽になるだろうと思いました。普段電車に乗る際、音や声で周りに迷惑を掛けまいと、ルールに従って携帯をマナーモードにし、通話を控えるように心掛けています。もちろん、優先席付近では電源を切っていますが、携帯は切るのも入れるのにも時間が掛かります。それに切っている間は情報を確認できないため不安ですし、不便です。電源を切らなくて済むのは非常にありがたい。
優先席をめぐるトラブルが去年の4月から39回もあったそうです。具体的には、70代の男性がタブレットを使う男性に刃物を向けて優先席での使用を止めることを迫り、また60代の男性がスマホを使う女性に電車から降りるようにと怒鳴り非常ボタンを押すなどの事態がありました。ここまでいけば異常としか言いようがありません。
こうした事態は、携帯に関する優先席のルールが変わることで改善される可能性があります。しかし、問題は優先席のルールにある訳ではないでしょう。根っこにあるのは個人のモラルの問題です。電車内で大きな音を出す、大声で話す、お年寄りに席を譲らない。そうしたマナー違反に加え、それらの人に対して過剰に反応することで周囲により迷惑を掛けるということもあります。注意するにしても、そのために自分が周囲に迷惑を掛けてしまうことのないように注意する必要があります。
京王線で車内での不愉快な光景を目撃したことがあります。女性に席を譲ろうとしたサラリーマン風の30代くらいの男性がその女性に「年寄り扱いするな」と怒鳴られたのです。その後、その女性は二駅先で降りましたが、それまで沈黙が流れ嫌な空気が漂っていました。その男性に悪意などなかったでしょうに、あのような態度はいただけません。必要がなければ、穏やかに断れば済むことです。これもモラルの問題でしょう。ギスギスしがちな車内です。自分を律するとともに、他人を許容することも必要なのではないでしょうか。
参考記事:8月11日付朝日新聞朝刊(東京13版)29面(社会面)「優先席付近の「携帯電源オフ」
必要なの?」