大阪府が独自の非常事態を示す「赤信号」を点灯して最初の金曜日となった12月4日、私は京都市の繁華街・木屋町通りにいた。「華金」なのに人通りは少なく、キャッチの「居酒屋お探しですか」の声が虚しく響く。
京都といえば、紅葉目当ての観光客で混み合う様子がよく取り上げられる。しかし、クラスターの発生源としてネガティブに報じられがちな「夜の街」には彼らの触手も伸びていないようである。
賑わう観光地とは裏腹に閑散とする繁華街。現状を調べるべく、その住人たちに話を伺うことにした。
「今日も3卓しか来てない。女の子の時給は三千円とかやん。お金がなんぼ減っていくねん」
そう語るのは、キャバクラでのキャッチを仕事にする中年男性。金曜日にも関わらず客入りは少なく、「上がったり」だという。第1波収束の後、一時的に客足は回復したが、第2波、第3波と1日あたりの感染者数が増加するにつれ、再び減少していった。
「京都も感染者が増えてもうちょいしたら人おらんようなるで」。活気のない通りを見つめ、男性は嘆いた。
木屋町通りのキャッチ。12月6日、筆者撮影。
風俗店もキャバクラと同様かなり厳しい現状にある、と店頭に立つ店長は語る。彼によると、例年は12月になると、1日平均20人以上の来店が当たり前だった。しかし、今年は1日に2、3人しか客が来ない日も多いそうだ。
「今日も開店から4時間近く経ってるのに客はまだ一人しか来てない」。入り口のネオンに照らされながら淡々と厳しい現状を話してくれた。
キャバクラのキャッチ、風俗店の店長に加え、バーの店長にも話を聞いたのだが、口を揃えて「スーツを着た客が少なくなった」と語る。バーの店長によると、会社や家族から「飲み歩き禁止令」が出ており、気軽に遊びに行くわけにはいかなくなったからだという。確かに、木屋町通りを歩いていても、仕事終わりらしきサラリーマンの姿はあまり見られなかった。「夜の街」のコア層である会社員の蒸発が活気のなさの主たる要因なのだろう。
「こんな状況が続いたらもうやっていけない」
「夜の街」の住人は口を揃えてそう述べた。彼らが発する声を私たちはどう受け止めていくべきなのか。私に明確な答えはない。それでも、私たち一人ひとりが考え、向き合っていかなければならないのではないか。
参考記事:
6日付 朝日新聞朝刊14版29面「赤信号の週末 街には人」