先日、大学の友人と半年ぶりに会いました。印象的だったのが、「コロナ禍で経済的な危機を身近に感じた」との彼女の言葉です。自分のアルバイトがなくなった。バイト先の店長は売れ残った商品を自腹で買い取るなど頭を抱えている。お母さんの仕事が激減した。お父さんの会社が他の会社と合併したため改めて採用面接を受けることになった。採用されて仕事を続けられてはいるが、当時はとても不安だった…命を守るために自粛を、と謳われていたなか「このままでは経済で死ぬ人が確実に出る」と感じたそうです。
この話をもっと早くに自分が聞いていたら。自粛への考え方がきっと変わっていたはずだ、と想像力の乏しさを痛感しました。筆者はコロナ禍の悪影響を身近で感じたことがなく、深刻な状況の人の話はテレビや新聞でしか聞いたことがありませんでした。頭では分かっていたつもりでしたが、友人から直接聞いた話ほど現実味を帯びて感じたことはありませんでした。在宅勤務やリモート授業が広がり、人と人との繋がりが絶たれることの弊害を改めて思い知らされました。
さて、13日付の朝日新聞の教育情報紙「EduA」では、「オンラインで交換『留学』」という気になる記事がありました。海外へ渡って学ぶことが難しくなっている中、各大学では学びや交流を進めていこうとインターネットを活用した様々な試みがなされているそうです。
筆者の通う南山大学ではどんな取り組みをしているのでしょうか。調べてみると、「NU−COIL(Collaborative Online International Learning)」というプログラムが用意されていました。COIL型授業とは、SNSやビデオチャットなどのオンラインツールを活用して、海外大学の学生と協働プロジェクトなどを行うもののこと。これと海外留学、企業でのインターンシップを組み合わせたものがNU−COILだといいます。
例えば、「Sustainability Studies C」という授業では、持続可能な社会の実現における問題点について、米国North Georgia大学のパートナー学生とオンラインで繋がりながら学習を進めるそう。授業時間以外にもパートナー学生と意見交換をする課題が出されます。
また、かなり実践的なプログラムも。連携する企業や団体、官公庁と事業を進める上での課題について共有し、その解決策やアイデアを海外の学生と調査、議論し、提案する授業です。きっと同じ課題に取り組む中で、親交が深まり、相手の住む国や地域への興味も湧いてくることでしょう。
新聞やテレビなどで知ることと、知り合った友人から「困っている」「怖い」「不安だ」と聞くのとでは、問題の受け止め方は大きく異なります。コロナの対応に追われているなかでも、日本各地で、世界各国で様々な問題は起こっています。今、繋がりの重要性を再認識し、積極的に交流の機会を作っていってはいかがでしょうか。
参考記事:
13日付 朝日新聞エデュア 1〜3面「コロナ時代の『留学』」
参考資料: