国民の皆様の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断いたしました。総理大臣の職を辞することといたします。
28日、安倍晋三首相が辞任する意向を明らかにしました。
街では様々な声が聞かれました。突然の辞任に驚く声。新型コロナウイルスの収束まで続投してほしかったと嘆く声。逆に長期政権にピリオドがやっと打たれたと安堵する声も。皆さんは、どのように、受け止めたでしょうか。
総理大臣としての連続在任期間が歴代最長記録を更新したわずか4日後の辞任表明。筆者は、「やはり」と思わずにはいられませんでした。「やはり」には、二つの意味があります。一つ目は、「やはり」体調が悪くなっていて任期満了まで務めるのは難しかったのだなということ。そして「やはり」このタイミングだったかということです。
体調面で、様子がおかしいと感じたのは、感染が再拡大した7月。連日、東京都知事や大阪府知事をはじめ、地方自治体のトップの発言が取り上げられる一方、安倍首相の動きが掴みにくくなったように記憶しています。閉会中とはいえ、再拡大したならば、何かしら露出が増えると思っていました。ですが、表に出るのは西村経済再生担当大臣をはじめとした大臣ばかり。本来は、先頭に立って引っ張るはずの国のリーダーの姿はありませんでした。
8月になると、それはさらに顕著になりました。久しぶりに取り上げられたと思ったら、「アベノマスクをついに脱いだ」というニュース。首相を囲む報道陣がマスクをなぜ変えたのかと聞く様子を見て、「もっと他に聞くことがあるのでは」と思ってしまいました。
しかし、今振り返ると、もう記者たちは安倍首相に厳しく詰め寄れる状況ではなかったのかもしれません。テレビ越しでも分かる顔色の悪さです。近くにいる報道陣は、体調の悪化が目に見えて分かったことでしょう。29日の日本経済新聞には、このような一節がありました。
淡々と話す首相の姿は病気と闘いながら職務を続ける重圧から解放に安堵しているようにもみえた。
筆者には、時折目を潤ませている悔しそうな姿が印象に残りましたが、間近で見てきた記者には違う風景が映っていたようです。それだけ、国民が思っている以上に体調は悪いのでしょう。どうか、ゆっくり休んでいただきたいです。
一方で、もやもやする気持ちがあるのもまた事実です。会見での発言、テレビ越しでみた安倍首相の姿、明らかになった8月の休みの数。総合的に考えると、もう少し早く辞任の決断が出来たのではないかと思ってしまいます。連続在任期間を更新することが、安倍首相にとって最も大事なことだったのかなと勘ぐってしまいます。
内閣総理大臣の任務につき、8年目。最近は、歴史にどれだけ名前を残すかにこだわっていたように感じていました。次の国のリーダーには、自身の功績よりも、まずは今の、そして未来の日本をどうするのか。目の前のこととしっかり向き合って、リーダーシップを発揮されることを求めます。
参考記事
29日付 日本経済新聞朝刊(東京13版)1面「政策遂行 切れ目なく」
日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞 各紙朝刊 安倍首相辞任関連記事
参考資料
首相官邸HP