形だけの「24時間」、放送する意味はあるのか。

今年も「24時間テレビ」が放送される。本来であれば開催されていた東京オリンピックの閉会式から2週間後、パラリンピック開幕の直前に合わせて、8月22日~23日という日程になった。メイン会場である両国国技館は無観客、対面を避けるため「キャッシュレス募金」を新たに始める。しかし、問題点がいくつかある。

<出演者とスタッフ>

24時間ということで、最も心配なのは出演者とスタッフの体調面だ。メインパーソナリティー、総合司会は替えの利かない存在。もし具合が悪くなったとしても、生放送なので編集はできない。視聴者は「コロナ」という単語が頭をよぎるのではないだろうか。番組を裏で支えるスタッフも忘れてはいけない。これまで問題なく番組を進行できているのは、スタッフ同士の連携が取れている証拠だ。画面上ではソーシャルディスタンスを保っているが、裏では密ということも考えられる。スタッフの人数を減らしているかもしれない。そうなると、一人ひとりの負担はかなり大きいだろう。

<形だけの24時間>

そもそも24時間テレビはチャリティー番組だ。これまで障がいのある子どもの夢を叶える、挑戦を応援するなど、視聴者に勇気や力を与えてくれた。しかし、今年は「エンタの神様」「ZIP!」などの番組とコラボした特別版や、芸能人による芸の披露、アーティストのライブなどが予定されている。これではチャリティーではなく、バラエティー番組を組み合わせただけだ。「福祉の実績や支援の必要性を伝え推進するため」という目的よりも、24時間放送することが大事なのか。どうも後者を重視しているようにしか見えない。

<個人的な見解>

この時期なので、放送は中止されるのではないかと予想していた。しかし、放送が決定されたので、今まで以上の企画、番組構成なのだろうと思っていた。フタを開けてみれば、本来の目的から逸れた内容だ。今一度、「24時間テレビのかたち」を考え直す絶好の機会だったのではないか。

私は小さい頃から、この番組を観ている。福祉の現状や、病気に苦しむ人がどういう困難に遭ったのかなど、勉強になる内容が多かった。それでも夢に向かって頑張る姿に感動した。また、「募金」に対する意識も変わり、少しのお金でも力になれることを知った。

数時間後には放送される24時間テレビ。クラスター感染、出演者とスタッフの負担がとても心配だ。番組の放送意義が問われている。

参考記事:

18日付 読売新聞朝刊(大阪13版)35面「24時間テレビで「募金ラン」」

参考資料:

24時間テレビ 愛は地球を救う(https://www.ntv.co.jp/24h/

公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会(https://www.24hourtv.or.jp/