こんな光景を思い浮かべることがあります。
潮風に髪をなびかせながら、友人3人と海辺の岩場に。コンビニで買ったチキン南蛮弁当をみんなで頬張っています。透き通った美しい海の中には生き物の姿もちらほら。最高に爽快な気分で、会話も弾みます。
「あーおいしかった」。満足げに立ち上がった友人の一人が、海に向かって当たり前のように弁当の容器を投げ捨てました。「ええっ!」。私は思いがけず声が。
「それなら手ぶらでらくちんだね、私も」とごみを手にし始めた他の友人たち。私は「どうしてこんなにきれいな海に捨てるの?」と止めました。熱心に説得したかいがありました。彼らは、最初に捨てられた容器からじわじわと滲み出す油を見て、思いとどまってくれました——
現実の世界でも、私は友人を止めるだろうと思います。きれいな海、生き物たちを汚したくない。その気持ちからです。
21日の朝日新聞朝刊の5面では、人の倍以上の高さに積み上げられた容器包装プラスチックの写真が半面を埋めていました。「脱・プラ社会」と特集された記事では、日本全国の湾におけるプラごみ問題について書かれていました。
瀬戸内海に流れ込むごみは、プラスチック以外のものも含めて年間4500㌧と推定される。そのうち、回収されるのが1400㌧、海底に沈むのが700㌧で、残りの2400㌧が外海に流れているとみられる
私たちの知らないところ、いや、目を向けてこなかったところで、これほどの量のごみが自然環境をむしばんでいる。想像もできないほどの数字を見て、驚きました。
最近、ごみ問題について考えるようになりました。SDGsについて授業で習ったり、日本は海外にプラごみの処理を押し付けている、ということを聞いたからです。輸出されたプラごみの多くは、食べ残しがついているなど、実際には資源としてリサイクルしにくいものばかりです。結局は業者が海に捨ててしまったり、焼却して有害物質を広げてしまったり。行き先が遠く離れていることもあって、強く意識することは難しいですが、私たちがきちんとゴミ箱に捨てるごみでも、結果的に深刻な環境問題につながっている可能性があるのです。
これを解決していくためには、まずはプラスチック製品を使わないようにすること、ごみの分別を徹底すること、そしてそれを多くの人が息長く実践することが必要です。
まだまだごみを減らす意識が不徹底だし、私自身も「まあいっか」と分別をしなかったり、容器をきれいに洗わなかったりする友人に注意できていません。時間をかけ、じわじわと私たちの出したごみが、美しい自然環境を汚しているのです。
「コンビニのレジ袋は断るようにしているからOK」と、ちょっとの行動で環境保護に貢献したつもりになりがちです。しかし、カフェで自前のタンブラーにコーヒーを入れてもらったり、所属サークルの活動をSDGsの視点から見て改革したり、私たちにできることはたくさんあります。考えること、学ぶことを諦めずに、問題に向き合っていきたいものです。
参考記事:
21日付 朝日新聞朝刊(愛知13版)4面「海のプラごみ 依存映す」関連記事5面
参考資料:
HUFFPOST「『日本はプラスチック廃棄物の処理を海外に押し付けている』専門家が指摘⇒今できることについて聞いてみた。」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/plastic-trash_jp_5cedf983e4b0ae671058d843