今朝の朝日新聞に、こんなコラムがありました。地方のとある少年院の法務教官は、実は18歳の時に少年院に入った経験があった。その人が今、少年一人一人と向き合っているという話でした。
普段は目にすることができない少年院での一コマで、とても印象に残りました。ぜひ多くの人に読んでもらいたい内容です。
実は、私は卒業論文で少年院を調べています。
具体的には、私が専攻している図書館学を踏まえて、いかに更生に読書が有効か明らかにしようとしています。本を読むことで、知らなかったことを知り、新しい価値観が芽生え、人生を好転させることができるかもしれないと考えているからです。
以前読んだ記事には、茨城の少年院「茨城農芸学院」で1年以上絵本を中心とした読み聞かせに取り組んだ方の実体験が記されていました。一対一で読み聞かせをしていた少年が、絵本を読み終えた後に自分の生い立ちやなぜここに来たのかを語り始めたことがあったそうです。本に感銘を受けてのことでした。
普段の生活の中で、矯正施設について考える機会はあまりありません。私は昨年末の韓国旅行で、刑務所歴史館に行ったことが、転機になりました。残虐な拷問の様子が再現されており、人権が失われていた過去を目の当たりにしたからです。ならば日本の刑務所や少年院はいまどんな状況なのだろうか、知りたくなりました。
せっかくなら図書館学と結び付け、少年院や刑務所の研究をしようと考え、今は少年院に絞って研究を進めています。公立図書館の司書が、少年院で本を読み聞かせたり、本を貸し出したりするサービスについて調べています。先進事例として知られているのが広島県立図書館(広島市中区)です。図書館で実際にサービスを提供している司書の方から、少年たちの変化などの話を伺おうと考えています。
先日の授業で卒論の内容について発表したところ、厳しい指摘が。必ずしも読書が更生を後押しするとは限らない。本当に効果があるのか、というのです。確かに、少年院に出た後に、全員が更生して地道な生活を送るかはわかりませんし、どこまで読書が再犯防止の助けになるのかは、数値として示すことは難しいでしょう。それでも、読書によって誰かの人生が変わる可能性はあると信じています。
今日のコラムでも、決定的なターニングポイントは読書ではなくとも、どんな非行少年でもきっかけがあれば変わることができると確信しました。
一度罪を犯しても法務教官になっている人がいる。さらには、彼が、今刑務所にいる少年たちを変えていく可能性がある。
自分からは遠い出来事と思われるかもしれませんが、一度道を外れてしまった人が、また元の道に戻ってこられるきっかけ作りを少年院内でできると信じ、これから研究を進めていきたいと思います。
参考記事:
8日付 朝日新聞朝刊(14版)22面 「窓 大丈夫、君も」