「お茶でも飲む?」言葉が全然通じない中、筆者はホテルのオーナーと翻訳アプリを使って1時間ほど会話を楽みました。中国・雲南省のホテルでのことです。3月11日から23日まで、ミャンマーなどと国境を接する南西部を訪れました。この旅行を通じて、外国人観光客にとって快適で「また行きたい」と思われるような国に必要なものは何なのかを知ったように思います。日本は2030年までに訪日観光客を6000万人とすることを目指しています。この目標の達成のためにも、今議論すべき事柄なのではないでしょうか。
外交関係があまり良くないにも関わらず、中国では皆、本当に親切に接してくれました。バスでは、決済システムがうまく使えず困っていたところを、乗客が親身になって助けてくれたのはその一例です。この2週間の旅行で、親切にしてもらう機会が数えきれないほどありました。
こうした体験を通じて考えたのは、旅行者の満足度や国の印象を左右するのは観光地の良さなどだけではなく、「一人一人の行動」ではないかということです。筆者自身、時間があまりない時や疲れているとき、外国人観光客に道を聞かれ、「分からない」と答えたことが何度もあります。「観光大国」を目指す上で、一人一人が「おもてなし」の心を持ち、接することが大切なのではないのでしょうか。
また、レストランなども多様なニーズにできるだけ対応することが大切だと思います。先日、大阪を旅行していたインド人の友達の案内をしました。彼女は「大阪の有名な食べ物を食べたい」と話していたのですが、ベジタリアンの彼女が食べられるような料理はほとんどありませんでした。もちろん対応する店はあるのですが、数は少なく、どこにでもあるわけではありません。店ごとに、肉や魚、できれば卵も使用しないメニューを一つ用意するだけでも、旅行者の満足感が上がるでしょう。
一方で、オーバーツーリズムも解決すべき大切な問題です。雲南省の数都市を回ったのですが、それぞれの都市間や観光地ごとのアクセスが大変良かったのは驚きでした。古城で有名な大理、麗江、世界有数の峡谷である虎跳峡、チベット文化圏である香格里拉など、全て公共交通機関で行くことができました。運賃もそれほど高くなく、事前に十分な下調べをしていなくても手軽に乗ることができました。そのためか、観光客が散らばり、混雑を強く意識させられることは少なかったです。
それに対し、日本では京都、大阪、東京に観光客が集中する現状があります。他の都市へのアクセスをより手軽にしたり、周辺の観光地をもっとPRしたりすることで、訪問先を散らばらせることができるはずです。実際、外国人観光客などに話を聞いてみると、「岩手県が一番」「鳥取砂丘が良かった」など、あまり知られていない土地の満足度が高い現状があります。
観光とは、単なる経済活動ではありません。人と人との理解を深める機会でもあります。そのため、日本に対して良いイメージを持ってもらうことは、日本が他国と良好な関係を持つことにも繋がります。日中関係が冷え込んでいる昨今、中国に行くことは少し不安がありました。しかし、そこに住む人々の優しさに触れたこと、満足度の高い旅行ができたことで隣国の印象が変わりました。日本をどのような「観光大国」にしていくかは、かなり重要な課題なのではないでしょうか。
参考記事
朝日新聞デジタル 「2025年の訪日外国人、初の4千万人突破 12月は中国から大幅減」
https://www.asahi.com/articles/ASV1N0FK2V1NULFA00SM.html

