「ここがいちばん」551 4年間のアルバイトを通じて感じたこと

関西に訪れた際、「551」と数字の書かれたお店に人が並んでいる光景を目にしたことがある人も多いかと思います。なぜこんな行列ができるのかと疑問に感じたことはありませんか。筆者は大学4年間、その豚まん専門店551でアルバイトをしました。今回は働くなかで気づいたことについて書いていきます。

筆者はもともと京都に旅行するのが好きで、その度に551を買って帰っていました。京都で一人暮らしをするようになってからは、せっかくなら好きなお店で働きたい、関西でしかできないことをやりたいと思い、アルバイトに応募しました。

売店での接客のほか豚まんを包んだり餃子を焼いたり甘酢団子を詰めたりしていました。連日多くの人が並んでいることから想像できるように、働いている間は休む隙がありません。レジに立っている人も、商品を製造している人も一つのチームになり周りを見て動くことが求められます。

豚まんは一つひとつ手で包んでいます。筆者が働いていた京都駅構内の店では1時間ごとの目標製造個数が決められており、時間内に決められた数をこなせるようペースを考えながら作っています。たくさん売れるからといって作り過ぎは禁物です。売れ残りが出ないように計算されているのです。

筆者が豚まんを包むようになってから苦戦したのは、綺麗な商品づくりです。注目してもらいたいのはひだの均一さと底の厚みです。ひだを取っていく作業は普段なかなかしない動作なので習得するまでに時間がかかりました。何人もの社員さんに教えてもらったおかげで、均等な間隔でひだをとり、「へそ」と呼ばれる豚まんの真ん中にあるくぼみを綺麗に作れるようになりました。

551の豚まんの底には木の皮(ざぶとん)が敷かれています。食べようとざぶとんを剥がしたときに、生地まで剥がれて中のお肉の部分が見えてしまうものはバランスの取れた豚まんとはいえません。生地を均一に広げ、底に十分な厚みを残すことで理想的な豚まんが出来上がります。社員、アルバイト関係なく、製造に携わっている全員の豚まんを切っては、定期的に出来映えをチェックしています。

551といえば明るい接客が思い浮かびますが、長時間売店に立ち続けることは決して楽なことではありません。喉が枯れるほど大きな声を出し続けなければならないからです。次々と並ぶお客さんを相手に、なるべく早く、かつ丁寧で元気の良い応対を心がけています。かつての自分がそうだったように、旅の最後に551を買って帰ることがどれだけうれしいのかを知っています。だからこそ、短い時間であっても一人ひとりが笑顔で商品を手に取ってもらいたいという想いで、明るさや心配りを忘れず店頭に立つようにしていました。販売に関しても抜き打ちでチェックされています。

もちろん仕事内容に「大変だな」とため息が出て、辞めたくなる日もたくさんありました。大好きなお店だったからという理由だけでなく、一緒に働く人のあたたかさに支えられて卒業まで続けられました。どれだけ列が長くても並び、商品を買うお客さんのなかには「家族から頼まれていた」「帰る前に買えてよかった」「また来るね」と笑顔で喜んでくれる人も多く、そうした言葉に力をもらっていました。

働くときにはマスクをつけることになっていたのですが、マスク越しでも「笑顔が素敵ですね」と言ってくれる方もいて、接客業でしか味わえない喜びを感じられました。京都という土地柄もあるのかもしれませんが、海外からの観光客が多く、英語で対応することもありました。お客さんが笑顔で購入していく姿が何よりもうれしかったです。

大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山に店舗があり、関西では身近に感じられる存在ですが、それ以外の地域に住む人にとっては特別なものとなります。関西に立ち寄った際には551を買うことを楽しみにしていると聞きます。筆者が働いていたお店はエリア内で一番忙しい店といわれていました。列車の時間は迫っているけれど、せっかくだからと列に加わる人もいます。日によって異なるのですが、最後尾からは20〜30分ほどはかかります。ようやくレジの順番が回ってきた頃には「時間がない」と急かされることもよくありました。

こちらも急ぐようにしているのですが、どれだけ時間がなくても商品の入れ間違えを防ぐためにレシートと商品を照らし合わせての確認は欠かせません。箱が似ているため間違えてしまうこともあるのです。最後に丁寧に確認することでお客さんが求めているものを正確に渡せ、それがお店への信頼につながっています。

アルバイトで帽子を被らなくてはならないため前髪がなくなってしまうことと、豚まんの匂いが染みつくこと、夏は暑く冬は寒い労働環境が難点でした。しかし、大好きな職場で働きながら学べて幸せな時間だったなと思います。551で過ごした時間は何にも代え難い思い出です。お店の名前の由来の通り、「味もサービスもここがいちばん」を体現しているお店の一員として4年間働かせてもらったことは誇りにも感じています。

551といえば豚まんが有名なのですが、筆者のおすすめは焼売と中華ちまきです。毎年期間限定で販売される帆立の貝柱が入ったユーチュー焼売や、たけのこちまき、うなぎちまきなどもあります。新幹線や電車に乗るお客さんのなかには車内での匂いを気にしている人も多いかと思います。店舗にもよるかもしれませんが、販売員に声をかけると紙で包装することも可能で、匂いを軽減できます。ぜひ覚えておいてください。今後もより多くの人に551の味を楽しんでもらいたいものです。

思わず力が入って長い報告になりました。筆者は今回の記事をもってあらたにすを卒業します。551でのバイトを通じて、最初は思うようにできなくても、真摯に向き合っていれば大変さのなかにも楽しさや喜びは見つけられると学びました。そして551や関西が好きという気持ちでバイトを継続できたことから、「好き」「楽しい」は何よりの原動力になることを実感しています。これから社会人になり働くなかで困難に直面することもあるかと思います。そんな時でも焦らず、一つひとつの仕事と誠実に向き合っていく姿勢や、大変という気持ちばかりが先行するのではなく楽しみながら乗り越えていく、自分らしさを大切に日々を過ごしていきます。

2年間、あらたにすの学生スタッフとして記事を書き、発信する場をいただけたこと、多くの方に読んでいただけたことに感謝しています。

参考資料

551蓬莱 「会社概要」https://www.551horai.co.jp/company/outline/

551HORAI蓬莱大阪名物の豚まん[肉まん] 「お店を探す」https://www.551horai.co.jp/shop/