その香り、迷惑かけていませんか? 香害の実態

先日、たまたま目に留まったポスターがあります。それは「知ってください!!その香り困っている人もいます」と大きな字で書かれ、香害について知らせるものでした。

2026年3月3日筆者撮影

香害とは生活用品の香りが、周囲の人に頭痛や吐き気などの体調不良を起こさせることを指します。柔軟剤や消臭剤、化粧品などの人工香料により体調不良を訴え、化学物質過敏症と診断される人は増加しているとの報告がありました。香りにより日常生活に支障をきたす人もいるのです。

コロナ禍で家にいる時間が長くなったことから、五感を刺激したりリラックスしたりできるものへの需要が高まったといわれています。特に香水はファッションブランドが参入し、多くの商品が登場しています。マスクをするのが当たり前だった頃はそこまで気にならなかったものの、コロナが落ち着き「脱マスク」生活になったことで、他者の匂いに敏感になる人が増えました。香害とまではいわなくとも、周りの臭いに悩んだ経験がある人は多いと思います。

ある小学校では保護者を対象に香害に関するアンケートを実施しました。すると28%の子どもが人工的な香料を不快に感じたことがあり、8%が体調不良を起こしたことがあることが分かりました。自由意見では学校給食の配膳の際に児童が着用する学校の白衣に関するものが208件もありました。当番が終わり、汚れた白衣を各家庭で洗濯する際に使われる柔軟剤についての苦情が目につきました。その後、給食当番では共用の白衣を使わず、自前エプロンの持参を認めるなどの対応がとられました。

筆者も小学生の頃は他の家庭で洗濯されたエプロンからの香りのほか、図書室や音楽室など教室独特の臭いにも悩んでいました。しかし当時は香害という言葉はなかったためなかなか理解してもらえず、意識して気にしないようにしていました。それ以降も周囲の臭いに過敏になってしまった経験は数えられないほどあります。バスや飛行機を利用している際に他の乗客の匂いが気になることがあり、その場合はマスクをして、過度に吸い込まないようにしています。

大学生になって友人と旅行した際、宿泊先の臭いがどうしても気になったことがあります。その時友人が「この臭い、私は苦手かも」と言ってくれたことで、不快に感じていたのは自分だけではなかったことがわかりました。それまでの人生で反応することが多かった話をすると相手も共感してくれ、気が楽になりました。

香水を纏うことはファッションと同じく個性を表現したり、自分自身への心地よさをもたらしたりすることだと思います。その一方で、不快に感じる人がいることも確かです。香水コーディネーターの方は「腰から下」につけること、あるいはハンカチや傘など小物に吹きつけることで、香害に配慮しながら好みの香りを楽しめると話しています。

良い香りでも四六時中嗅ぐと苦痛に変わるといわれています。自分にとっては好みのものであっても、相手によっては受け取り方が異なり、場合によっては危害を加えている可能性があることを理解した上で、香りの世界に付き合っていきたいものです。

参考資料

朝日新聞デジタル 「香りで突然の体調不良『生きる意味は何かと絶望』 当事者が語る苦悩」https://digital.asahi.com/articles/ASTCX3F2QTCXPPZB00PM.html?iref=pc_ss_date_article

朝日新聞デジタル 「クレオパトラも癒やす? 臭気判定士が開発 新型の香りのスプレー」https://digital.asahi.com/articles/ASV2C2CCZV2CPLZB00MM.html?iref=pc_ss_date_article

朝日新聞デジタル 「フレグランス市場、コロナ禍以降に加速『自分らしさ』求めて」https://digital.asahi.com/articles/AST182TS8T18UCVL05YM.html?iref=pc_ss_date_article

読売新聞電子版 「人工的な香りに苦しむ子ども、柔軟剤・消臭剤・化粧品で『香害』…頭痛や吐き気など体調不良に」https://www.yomiuri.co.jp/national/20230621-OYT1T50329/