世界で確立されるマンガカルチャー 日本との違いは?

日本の漫画市場やIPビジネスは拡大傾向にあります。多数の作品がアニメ化され話題になるなど、その人気は国内に留まりません。筆者自身が漫画のグッズを身につけた外国人を目にすることもあり、世界各地に広がっていると実感しています。以来、現地ではマンガにどのような眼差しが向けられているのか関心を抱くようになりました。今回は、海外旅行で感じた日本の「マンガカルチャー」の現在地をお伝えできればと思います。

 

イタリアのフィレンツェに位置するウフィツィ美術館では、マンガが日本の文化として受け容れられていることを実感しました。ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』が展示されていることで有名な歴史ある美術館には、その他にもルネサンス期の名画が多数並びます。そのショップには、名画のポストカードや西洋美術の書籍をはじめグッズが販売されていました。その中で、『CURIOUSLY CUTE MANGA』と書かれた本が目に留まりました。マンガのタッチで描かれたイラストが掲載されている塗り絵本です。歴史ある美術館で販売されていることに衝撃を受けると同時に、マンガが1つのカルチャーとして受け入れられていることを知りました。

 

(ウフィツィ美術館で販売されている塗り絵、2026年1月27日筆者撮影)

 

また、文化としてだけではなく、身近な読み物として受け入れられている様子も目の当たりにしました。イタリア国内の書店では、他のジャンルの書籍と同じようにマンガが売られています。最近の作品だけでなく、昭和や平成に人気を博した作品も多いことに驚きました。

 

(イタリアの書店内のマンガコーナー、2026年1月25日筆者撮影)

 

日本のマンガやキャラクターを目にしたのは、書店だけではありません。イタリアでは、大手ファストフードチェーンと日本のマンガキャラクターのコラボを目撃しました。

 

(ファストフード店の限定メニュー、2026年1月25日筆者撮影)

 

フランスでは、「Manga Story」という公式フィギュアやグッズを扱う店を発見しました。また、現地のカフェでは店員が日本のマンガグッズを身につけながら働いている様子も目撃し、その人気を実感した次第です。

 

(パリ郊外で見つけた「Manga Story」 2026年1月31日筆者撮影)

 

ヨーロッパ各地で日本のマンガやグッズを目の当たりにし、想像以上に街に浸透している様子に衝撃を受けました。最新の作品に留まらず、数十年前に刊行されたマンガが多いことが何より意外でした。国内で人気の作品と海外で受け入れられている作品には、少し違いがあるようです。日本ではタイアップが少ないように感じる過去の作品も、海外では積極的に展開されている印象です。

 

日本のマンガ人気は、ヨーロッパだけではありません。北米やアジアでも人気が上昇しています。タイを訪れた際には、マンガに登場するキャラクターのプリントTシャツを着ている人を見かけ思わず声をかけてしまいました。

 

21日付の読売新聞の夕刊で、外務省が伝統芸能やアニメなど日本文化の魅力や歴史を伝える「語り手」を海外に派遣する取り組みを始めたことを知りました。新たな試みにより、すでに世界に広がっている日本カルチャーが、さらにどのような形で浸透していくのか注目です。現地で見た光景から、文化として地位を確立しつつあるマンガですが、海外人気は日本と少し違った様相だとも分かりました。その違いに目を向けると、マンガの新たな一面に出会えるでしょう。

 

 

参考記事:

 

2026年2月13日付 日経速報ニュースアーカイブ「TOブックス上場 本田社長「北米など海外展開、市場に合わせて」-経営トーク」

2026年2月21日付 読売新聞夕刊「文化語り手 海外へ派遣 伝統芸能やアニメ・映画 外務省 日本の理解者増狙う」

 

参考資料:

 

経済産業省「エンタメ・クリエイティブ産業戦略~コンテンツ産業の海外売上高 20 兆円に向けた5ヵ年アクションプラン~」

Cステーション「中国、タイでも愛される! 日本のマンガが持つビジネスポテンシャルに迫る──中国、タイ【アジア編後編】」