卒業論文でAIの使用はどこまで認められる? 身につけたいリテラシー

多くの大学では、12月下旬から2月中旬が卒業論文の締め切りです。今まさに執筆に追われている学生も少なくないでしょう。大学4年の筆者も、提出に向け自身の論文原稿とにらめっこする日々を送っていました。

 

所属するゼミでは、卒業論文の進捗報告の機会がありました。体裁のチェックや構成の助言に加えて俎上に載るのは、AIの使用についてです。指導教員はAIの全面的な使用を咎める一方、上手く活用するようにと言います。

 

実際にAIを活用した学びを取り入れている大学は、少なくありません。2025年12月9日付の朝刊に掲載された日本経済新聞の調査によると、全国の大学のうち6割が教育に活用していることが分かっています。「授業中のブレーンストーミングや論点の洗い出し」「リポートなどの添削」など目的は様々です。部分的にAIを導入している印象を受けました。同時に「リポートや論文などに不正利用される」といった懸念の声も上がります。AIの進化に伴い効果的な活用方法を模索する一方、学生の学びを妨げないようどのように規制すべきか、大学側が直面しているジレンマが伺えます。

 

筆者が通う大学は、AI の使用そのものを完全に禁止することは現実的ではないとし、利用時の注意点を強調しました。学生には、適切に活用しながら学ぶためリテラシーを身につけるようにと呼びかけています。その上で、授業内で指示があれば従うようにと、実際の判断は教員に委ねている印象を受けました。

 

大学の規定と指導教員の助言にならって、卒業論文を執筆するにあたり筆者自身AIをどのように活用すべきか頭を悩ませました。不正な乱用と適切な利用が紙一重と感じたからです。試行錯誤するなかで得た気づきは、あくまでAIを補助的に利用すべきだということでした。

 

筆者は、大きく3つの方法でAIを活用していました。まず、文献を探す時です。執筆を始めた当初は検索ワードが乏しく、参考になる文献に上手く巡り会えませんでした。そんな時にはテーマに沿った関連用語をAIに提示させ、検索語句を増やすために活用していました。次に、要旨を確認したい時です。執筆が佳境に入ると、様々な論題が交差し頭が混乱することも少なくありません。AIに序論や結論を簡単に伝え、論旨に一貫性があるか確認していました。最後に、助言が欲しい時です。執筆を進めていると、論文の展開や構成に自分自身で疑問を抱くことがあります。指導教員に質問することもありましたが、些細な疑問は一度AIに尋ねるようにしていました。

 

卒業論文の執筆の伴走役としてAIを活用していましたが、留意しなければいけない点を忘れてはいけません。AIに送信した情報は蓄積されて学習されるため、未発表の研究結果や分析結果を入力することは危険です。筆者も論文そのものを送信しないよう注意していました。また、AIが提示する情報が必ず正しい訳ではありません。誤情報が含まれている可能性があることや、ユーザーの主張を否定する対応はしないといった点に気をつける必要があります。

 

AIを正しく活用すると、効果的だといえます。その反面、リスクがあることを忘れてはいけません。卒業論文の執筆を通して、賢く活用するリテラシーを身につける必要性を痛感しました。大学がAIリテラシーを学ぶ環境を整え、学生がその生かし方を知ることが大切だと感じます。両者が実績を積み上げていくことを願うばかりです。

 

 

参考記事:

 

2025年12月9日付 日本経済新聞朝刊「大学、生成AI活用6割 532校調査 向き合い方二極化 成績評価や入試に/不正警戒で二の足」

 

2025年12月30日付 朝日新聞朝刊(地方)「生成AI活用し、アプリ作成挑戦 愛媛大院生ら企画 /愛媛県」

 

 

参考資料:

 

「生成系 AI(人工知能)の利用にあたって」