消えゆく公衆電話 増える需要

筆者の地元山口県に帰省時、いつもの景色に何かが足りない、そう思いました。高校時代、登下校でいつも使っていた駅から公衆電話が姿を消していたのです。スマートフォンが電池切れの時に、迎えの連絡を公衆電話からかけたことは思い出の一つです。

たしかに全国で減少している公衆電話ですが、災害時の利用はもちろん、形を変えながらも大切な役割を果たしています。

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)によると、2022年3月時点で、全国で13.8万台が稼働中とのことです。93.5万台だった全盛期の1985年から79.7万台も減り、利用率は20年間で98%も減少したそうです。確かに、スマホの普及による利用者減少はやむを得ないでしょう。

街中の道路沿いに点在する公衆電話。 (宮崎市にて筆者撮影)

しかし、公衆電話の需要が緊急時に増加することは数字が示しています。昨年起きた能登半島地震の被災地、石川県では発生から1か月間で公衆電話の利用が3割増えたといいます。また、NTT西日本は避難所にいる被災者が無料で利用できる災害時用公衆電話を、東日本大震災のあった2011年の3000台から24年3月には3万8000台まで増やしたといいます。

一方、東京都とNTT東日本は従来の公衆電話ボックス内に次世代公衆無線LAN(Wi-Fi)を無料で利用できる環境を備え、インバウンド利用に対応するとともに、災害時の通信手段確保へと繋げる取り組みを始めています。28年3月末までに約1500ヶ所の整備を進めるといいます。利用者の多い駅や公園に設置される公衆電話の利点を活かした実用的な取り組みです。そして、Wi-Fiがあるなら充電もしたいと思い調べたところ、モバイルバッテリーが設置された公衆電話ボックスもあるようです。

街で見かけることが減った公衆電話ですが、緊急時に本来の機能で私たちを助けてくれることはもちろん、日々、私たちが必要とするWi-Fi、充電などの機能を備えることで新たな役割を担っています。これからどんな進化型公衆電話が現れるか楽しみです。

 

 

参考記事:

2024年9月21日付 読売新聞オンライン 公衆電話災害時もつなぐ 使い方や場所把握をhttps://www.yomiuri.co.jp/member/scrap/20240920-OYTAT50041

2025年3月10日付 京都新聞デジタル  全国で今増えている「公衆電話」がある 10年超で10倍、小学校にも設置 その使い方は

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1435851#goog_rewarded

2025年12月23日付 日経電子版 東京都、電話ボックスに無料の次世代Wi-Fi 1500カ所をNTT東と整備

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC234140T21C25A2000000/

 

参考資料:

2021年3月11日 読売新聞 くらし×防災メディア「防災ニッポン」 スマホ充電を電話ボックスで!NTT西の実証実験

https://www.yomiuri.co.jp/bosai-nippon/biz-article/2021

2023年3月18日 ウォーカープラス 全盛期より98%も利用率が減った「公衆電話」。それでも生き残り続ける理由とは?

https://www.walkerplus.com/article/1127243/

2025年8月27日 NTT東日本株式会社 東京都とNTT東日本が「公衆電話ボックスを活用したOpenRoaming対応Wi-Fiの整備・普及啓発等に関する基本協定」を締結

https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20250827_01.html