動力源の多様化や自動化、知能化といった「100年に一度の大変革」に直面する自動車業界。その台風の目とも言えるのが、中国自動車大手のBYDです。
元々バッテリーメーカーとして創業した同社ですが、ここ数年で急速に勢力を伸ばし、今や販売台数でホンダや日産を上回るほどに成長を遂げました。
近年は、日本市場への進出も加速しており、日本メーカーの地位を脅かしかねない存在となっています。
◯初のEV世界首位へ
今月1日、BYDは2025年のEVの新車販売台数が225万台だったと発表しました。翌2日に発表された米EV大手テスラの販売台数(約164万台)を大幅に上回り、EVの年間販売で初の世界首位となりました。
前年比で見ても、テスラの8.6%減に対して、BYDは28%増となっており、勢いの差は歴然です。
◯加速する日本進出 カギは軽EV
BYDは15年に商用車部門で、23年に乗用車部門で日本市場に参入しました。
国内最大の自動車展示会である「ジャパンモビリティショー」(JMS)にも2回連続で出展しています。筆者もブースを訪れましたが、プレスカンファレンスには多数の報道関係者が詰めかけ、関心の高さが伺えました。
日本市場へのさらなる浸透に向け、日本の規格に合わせた車両の開発も進めています。
昨秋のJMSでは、日本の軽自動車の規格に合わせた軽EV「RACCO(ラッコ)」が注目を集めました。日本で人気が高いスーパーハイトワゴンに分類され、ホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」などの競合車になると見られています。
25年上半期のBYDの日本国内での登録台数は1636台と、同社の世界販売台数から見ると決して大きな数字ではありません。
しかし、安全性や品質への評価が厳しい日本のユーザーに受け入れられるかどうかは、グローバル展開の試金石となります。
「RACCO」は今夏に導入予定で、航続距離や価格などの詳細が注目されています。
◯日本メーカーの反攻
国内メーカーも手をこまねいているわけではありません。
26年度内の軽EVの量産化を目指すスズキは、昨年のJMSに「Vision e-Sky」を登場させました。普段使いに便利な軽自動車が手頃な価格で買えるようになれば、欧米や中国に比べて低いEV普及率にも変化があるかもしれません。
最大手のトヨタは昨年10月に一部改良した「bZ4X」の売れ行きが好調で、11月の国内販売台数は1580台に急伸しました。
世界的には逆風が吹くEVですが、国内では競争がにわかに激しくなっています。
BYDをはじめとする中国メーカーは目覚ましい勢いで自動車業界の新たな主役に躍り出ようとしています。
一方、日本メーカーも新型車の開発を急ぎ迎え撃つ構えです。今年も自動車業界から目が離せません。
参考記事:
日経電子版「「プリウス以来の本気」 トヨタのbZ4X、国内EV初の首位」(2026年1月3日)
日経電子版「テスラの2025年販売8.6%減、BYDが世界首位に 米中主役が逆転」(2026年1月2日)
日経電子版「BYD、テスラ超え初のEV世界首位へ 25年販売は3割増の225万台」(2026年1月1日)
日経電子版「スズキ、26年度から国内でEV生産 「100万台体制」維持し雇用確保」(2025年12月30日)
日経電子版「中韓台のEVの雄、輸出攻勢へ日本が登竜門 軽自動車や高級車が参戦 モビリティショー×クルマ新解剖」(2025年11月2日)
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