「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」にノミネートされた30語が先日、発表されました。世相を反映した言葉に贈られる賞で、毎年注目を集めます。昨年まで「ユーキャン新語・流行語大賞」という名称でしたが、協賛企業が変わったため呼び名も変更されました。「物価高」や「古古古米」といった時事的な社会の話題を表す言葉や、「国宝(観た)」「教皇選挙」など映画作品と関連した言葉など、様々な表現がノミネートされています。
(出典:2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞)
筆者の目に留まったのは、「チャッピー」です。米オープンAIの対話型AI(人工知能)chatGPTの呼び名として広がりつつあります。筆者の周囲の友人の間でも「チャッピーに聞いてみよう」「チャッピーにすぐに相談してしまう」と、親しみを込めて呼ぶ人が増えているようです。以前よりも生成AIが身近な存在に思えました。なかには、chatGPTに質問の返答方法や表示方法を学習させ、友人のような存在にカスタマイズする様子も見受けられます。「もっと絵文字を使って答えて」など要求することで、淡々としたやり取りが少しずつ変化します。同年代の友人とメッセージを交わしているかのような生成AIの返答に驚かされることもありました。
「2023年新語・流行語大賞」で初めて生成AI関連の言葉がノミネートされ、「生成AI」と「チャットGPT」が選出されていました。当時は新たなテクノロジーとして注目を集めている印象でした。一方、2025年の今ではその愛称がノミネートされています。数年でchatGPTをはじめとした生成AIがいかに生活に浸透したのか伺えます。
テクノロジーとしてだけではなく新たな友人として、生成AIが普及しつつあるといえるかもしれません。8月上旬からSNS上では、「#keep4o」というハッシュタグが広がりました。chatGPTの新モデル「GPT-5」は温かさに欠けるといった声から、旧モデル「GPT-4o」の復活と継続を求める人々が現れたからです。米オープンAIは有料プランでのみ旧モデルを使用できるよう対応しました。
友人として温かみのあるAIを求める声が高まる一方、ユーザ-の言うことを頭から否定することなく、心地よい答えや知識を提供してくれるAIにのめり込むことには危うさを含んでいるようにも感じます。テクノロジーとしての活用方法に留まらず、日常生活の中でどのように利用するか。適切な距離間を模索していきたいものです。
参考記事:
2025年09月23日付 朝日新聞朝刊「(メディア空間考)AI対話増えたけど 時に厳しい人間のつながり、深めたい」
2025年11月05日付 読売新聞オンライン「新語・流行語大賞の候補に「古古古米」「ミャクミャク」「チャッピー」など30語」
2025年11月06日付 朝日新聞朝刊「流行語大賞、30語候補 「緊急銃猟」「オンカジ」「国宝」」
参考資料:
T&D保険グループ 新語・流行語大賞「第40回 2023年 ノミネート語」

