3年に一度、瀬戸内の島々を舞台に開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)」。約100日間の会期は、春、夏、秋の3シーズンに分かれています。8月31日に閉幕した夏会期では31日間の会期中に屋内有料施設などを訪れた人が約28万人に達し、コロナ禍の影響を受けた前回2022年の夏会期(31日間)の約1.5倍に増えたそうです。日本国内からだけでなく、中国からの旅行者が建国記念日「国慶節」の8連休で訪れるなど海外からの注目度も高く、秋会期も連日にぎわいを見せています。
秋会期は、通期で会場となっている直島・豊島・女木島・男木島・小豆島・大島・犬島・高松港エリア・宇野港エリアに加え、本島・高見島・粟島・伊吹島・宇多津エリアが加わりました。作品数は256作品(うち新作117作品、新展開19作品)、イベント数は25 (うち新作23、新展開2)です。参加アーティストは222組(うち初参加92)、37の国と地域からの国際性豊かな芸術作品が並びます。
島内だけでなく、市内にある高松駅の高速バスターミナルにも、可愛らしいアート作品が飾られていました。
高速バスターミナルにあるアート作品
(2025年10月21日筆者撮影)
高速バス待合所の外壁に隠れているこの作品は、≪待つ人≫と題されていました。高速バスを待つ人たちに交じって一緒に待っているようなこの作品に心が温かくなりました。作品の横の看板にあるQRコードを読み取ると、作者の情報や作品についての説明を見ることが出来ます。
作品情報のQRコードが張られた看板
(2025年10月22日筆者撮影)
多くの来場者で賑わう瀬戸芸は2010年に初めて開催されました。1988年の瀬戸大橋の開通による宇高連絡船の廃止に伴い、高松港は徐々にその活気を失っていき、島々では過疎化が問題視されるようになりました。そんな中、アートの力で島を活発にし、瀬戸内海に文化的ネットワークを創り上げることを目的として始まったプロジェクトは地域に活気を取り戻しつつあります。男木島ではこの祭典がきっかけとなり、移住者が増加したことで、休校していた小中学校や保育所が再開しました。人口約150人の男木島への2014年以降の移住者は60人を超えているそうです。
男木島の風景
(2021年10月24日筆者撮影)
瀬戸芸は来月9日まで開催されています。瀬戸内の美しい島々とアートを感じる秋の旅はいかがでしょうか。
参考資料
9月8日付 朝日新聞「瀬戸芸の夏会期、来場増え28万人 新エリアなど要因か /愛媛県」
10月1日付 朝日新聞 「中国8連休、日本旅行人気 年間客数最多ペース 福岡・高松に注目」
参考サイト
瀬戸内国際芸術祭2025 https://setouchi-artfest.jp/news/detail/1845fd4f-f78e-4ebe-91a3-accea22a491d
ベネッセアートサイト直島 「『瀬戸内国際芸術祭』2010年の初開催に至るまで」https://benesse-artsite.jp/story/20220704-2370.html