二十歳の節目-年金を考える-

 

10月に入りようやく秋らしくなってきました。そして、大学生はやっと秋学期が始まりましたね。筆者のような2年生は、来年に向けたゼミの選考が本格的に始まったのではないでしょうか。筆者は、大学生活を通して自身の興味が広がったため、何をどう深めていきたいのか分からず、ゼミの選択には苦戦しています。

 

そんな大事な選択に迫られる2年生の多くは、今年二十歳を迎えました。筆者もまもなく二十歳を迎えますが、嬉しさをかき消すかのように、自宅には日本年金機構からの郵便が届きました。そこで、今回は年金について学生の立場から考えていきたいと思います。

 

現在の日本の年金制度は、2階建て構造であり、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する「国民年金」と会社員・公務員が加入する「厚生年金」からなっています。特に、我々学生に関係するのは1つ目の国民年金です。システムとしては、20歳を迎えた月から月額の保険料を納めるもので、その水準は変動し、令和7年度は17,510円となっています。

 

この金額をどう捉えたらいいでしょうか。学生の立場から捉えると正直高すぎると思います。1ヶ月だけならまだ払えるかもしれませんが、1年間で見ると約20万円を支払うことになります。学生のアルバイト代は多くても1ヶ月7万円程度と考えると年間の収入のうち約4分の1を保険料に当てなければならないということです。

 

学生は、遊んでいるだけなんだからもっとバイトできるだろと言う人もいるでしょう。ですが、学生も長期休暇以外はそこまで暇ではありません。授業や課題、そして筆者のような実家学生は通学時間でも大幅に時間を削られるのです。そうなれば言うまでもなく、バイトを十分にする余裕はなく、収入も満足に得られないのです。

 

このような学生の状況を踏まえた「学生納付特例制度」というものがあります。学生であり、かつ本人の前年度所得が一定額以下の場合に保険料の納付が猶予されるというものです。この制度の特徴としては、その猶予期間も受給資格期間に含まれるというところでしょうか。ですが、この制度を利用した場合、将来受け取ることができる給付額が減ってしまうという点も考慮しなければならないでしょう。また、制度利用には、申請手続きが必要であり、手間と時間はかかってしまいます。

 

大学を卒業した後、追納という形で猶予期間の保険料を支払うことによって、将来の受給額は増やすことが可能です。しかし、現在の日本の賃金水準で、天引きされる分に加えて追納をすることができるとは思えません。かといって、学生のうちから毎年20万円を払うことも現実的ではありません。親が代わりに支払うというのも1つの方法かもしれませんが、そもそも20歳以上を納入義務の対象としているのなら、20歳の学生でも支払える金額で設定するべきです。

 

少子高齢化が進行する現在、学生でも支払える金額に設定してしまうと年金財政を賄うことが難しいのは理解できます。しかし、我々が年金を受け取る年齢になった時、必ずしも十分に受け取れるという確証は、現代の社会情勢を見る限りありません。それでも、我々は支払い義務を全うしなければならないのです。

 

これからの社会を考える上で、年金の問題は1つの大きな論点でしょう。将来への不安を持抱えたまま年金の納入をすることには抵抗があるというのが筆者の本音です。制度自体も今回、自ら調べ始めて知ったことが多くありました。ですが、その公的機関から出される説明は、小難しく読む気にはなりません。より学生の目線で、わかり易い説明や制度とするためには、学生だけでなく、社会に出た大人も一緒にこの問題を考えていかなければなりません。

 

参考資料

厚生労働省 「知って起きたい年金のはなし 20歳になったら国民年金」

日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/hatachi-tetsuduki.html