シティズンシップ教育とは? 「市民」であるために必要なこと

現在、大学で「比較市民教育論」という講義を受けています。日本の明治から現在までの市民教育と、海外の市民教育を学ぶ授業です。市民教育はシティズンシップ教育とも呼ばれます。それは何なのか、知っていますか。

総務省の「常時啓発事業のあり方等研究会最終報告書」(2011)では、シティズンシップ教育について「社会の構成員としての市民が備えるべき市民性を育成するために行われる教育であり、集団への所属意識、権利の享受や責任・義務の履行、公的な事柄への関心や関与などを開発し、社会参加に必要な知識、技能、価値観を習得させる教育」と定義されています。その中でも、「市民と政治の関わり」を学ぶものを主権者教育とするそうです。主権者教育はシティズンシップ教育の一部と考えられていると言えます。

シティズンシップ教育の例としては、社会科での模擬選挙やマニフェスト学習、消費者教育、ボランティア活動や職業体験などがあり、内容は多岐に渡ります。

日本では2016年に選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを受け、とくに主権者教育が盛んにおこなわれています。私も中学生の時に生徒会の選挙で本物の投票箱を使うと説明を受けたり、高校生の時には政策立案の授業があったりした思い出があります。

2022年度には高校で科目「公共」が新設されました。日経新聞の記事によれば、政治や法律といった社会制度の理解を踏まえた「議論する力」の育成が科目としての目標で、「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」を重視し、模擬選挙や模擬裁判などに取り組むといいます。

さらに、最近ではデジタル・シティズンシップ教育も重視されるようになりました。デジタル機器の利用を制限するのではなく、逆に活用して社会に参加する方法が模索されています。

シティズンシップ教育や主権者教育では、投票の方法や政治の仕組みだけを教えるのではなく、問題について具体的に議論したり、考えたりするプロセスが重要だと考えます。しかし、学校では「政治的中立」に配慮し、具体的な社会問題や選挙の争点に踏み込まないことがあるそうです。情報を取捨選択して、問題への自分なりの意見を持つ経験は、選挙への意欲や関心につながるはずです。

ただ投票に行くだけではなく、社会に興味を持ち、深く考えるには、私たちは何をすればよいのでしょうか。そんな問いへの答えは簡単には出ませんが、新聞を読んだり、ニュースを見たりして世界を知ることが第一歩になるのではないかと思います。

私はシティズンシップ教育を卒業論文のテーマとして、さらに詳しく調べることにしました。近づく提出締め切りを恐れる毎日ですが、書き上げた後も考え続けられるいいテーマに出会ったかもしれない、と嬉しく思っています。

 

参考記事

2024年2月28日付 朝日新聞朝刊 社会面「日本の子ども、政治と深い溝」

2025年7月10日付 読売新聞オンライン「<参院選2025>主権者教育 若者目線で」

2022年7月13日付 日経電子版「「議論する力」育成手探り 高校新科目「公共」」

 

参考資料

唐木清志・岡田泰孝・杉浦真理・川中大輔『シティズンシップ教育で創る学校の未来』(東洋館出版社、2015年)

北山夕華・古田雄一・川口広美・斉藤仁一朗・川中大輔〔編〕 『民主的社会をつくるシティズンシップ教育 理論と実践の現在』(ナカニシヤ出版、2025年)

総務省 『常時啓発事業のあり方等研究会最終報告書』(2011年)