インスタントカメラの発売から77年 写真技術の進化を辿る

1948年11月26日に世界初のインスタントカメラが発売され、それから77年が経ちました。インスタントカメラは撮影したあと自動的に写真を現像することができる特殊なフィルムを使ったカメラのことです。開発したポロライド社の名前からポロライドカメラとも呼ばれています。

 

フィルムカメラやインスタントカメラは銀塩カメラとも呼ばれています。銀塩とはフィルムや印画紙が銀や塩素の化合物で作られていることが由来しています。カメラのフィルムにはハロゲン化銀が感光物質として使われています。このフィルムに当たった光がハロゲン化銀を化学反応させ、目に見えない潜像を作ります。フィルムを現像液につけると、光の当たった部分が黒くなり像が現れるようになりますが、それだけでは未感光のハロゲン化銀は残ってしまいます。ハロゲン化銀を溶かす薬品に入れると黒い銀粒子だけが残り、写真が「定着」します。これらの過程を得てネガと呼ばれるフィルムができ、ネガを光にあて印画紙に感光させると画像が出来上がります。

写真のカラーフィルムは青、緑、赤の順番に感光乳剤層が重ねて塗られることで色が表現されます。カラーフィルムの発色剤に現像、定着の薬品処理をすることでイエロー、マゼンタ、シアンの3色のネガ画像が出来上がります。このネガ画像に光をあてて、印画紙上に発色させることで被写体の色が再現されます。目で見えるほとんどの光はRGB(レッド・グリーン・ブルー)の組み合わせで作ることができ、「光の三原色」と呼ばれています。

 

1990年頃からはインスタントカメラに代わりデジタルカメラが普及し始めます。この影響もあってか2008年にはポロライド社が倒産してしまいます。インスタントカメラを開発したポロライド社にとってデジタル市場はまだ存在しない市場であったことからインスタントカメラ市場の市場規模や成長率などのデータをもとにを算出したことにより意思決定したことが原因と考えられます。デジタルカメラは画像をピクセルとしてとらえています。フィルムの役割を果たすものは光を電子信号に変換するCMOSやCCDセンサーでなどの撮像素子になります。受光素子が光に反応して電荷を蓄え、数値に変換され画像が生成されます。デジタルカメラのカラーもRGBの原理が活用されています。

デジタルカメラ(11月27日、筆者撮影)

 

そんなデジタルカメラですが、スマートフォンの保有率の増加により普及率は低下傾向にあります。スマホのカメラ性能は年々向上し、誰でも気軽に写真撮影を楽しむことができるようになりました。カメラを持つ人が少なくなりつつある中でデジタルカメラやインスタントカメラの面白さを見つけ、使ってみてはいかがでしょうか。味わい深い写真が撮れるはずです。

 

参考文献:

2025年4月13日 日経電子版 「チェキ」終売危機から1億台 12カ国ファンの声聞いた

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC26AP70W5A320C2000000/

2025年5月5日 読売新聞オンライン アナログ感で人気再燃「チェキ」1億台突破、売上の9割海外…携帯普及で一時低迷も韓流ドラマで注目

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250505-OYT1T50060/

 

参考資料:

キヤノンサイエンスラボ

https://global.canon/ja/technology/s_labo/light/003/01.html