変わる時代、変わるエンターテイメント

10月も残すところあと1週間、気づけば年末もすぐそこに。目まぐるしく季節は変わっていきます。一体何を着たらいいのか、悩みも尽きません。

 

そんな中、政治には大きな変化が起きたのではないでしょうか。今月21日、日本において初の女性総理大臣が誕生しました。これで、G7で女性の政治トップが誕生していないのは、アメリカ1か国となり、日本もようやく各国に足並みをそろえたということでしょう。これまでの政治にどのような変化を起こすのか各方面から注目が集まっています。

 

日々の暮らしにも様々な変化が起きています。例えば、レストランでの注文があるでしょう。これまでは、席に着き、メニューを見て、手を挙げ店員を呼んで注文という流れが一般的でした。しかし、最近では席に着き、メニューを見て、タブレットや自身のスマートフォンから注文する形が普及してきました。レストランでホールスタッフとして働いていた身からすると、お客さんが自分で注文してくれるというのは、料理の提供や空いた食器やテーブルの清掃など他の仕事に時間を割くことができ、店にとっては大変助かるシステムだなと痛感していました。

 

このように、社会は様々な技術や価値観が生まれては、消えることを繰り返し、新たな時代を創っているのでしょう。それは、エンターテイメントの世界も例外ではないと思います。これまで、「オタク」であることはどこか恥ずかしいという認識をみなさんは持っていたのではないでしょうか。筆者自身も高校時代、はじめてアイドルグループに興味を持ちましたが、それを誰かに「好きなんだよねー」ということはどこか躊躇われました。だからこそ、その当時自分の好きなものをはっきり好きと言え、それを楽しんでいる友達をかっこいいと思ったものです。

 

今、「オタク」に対してどのようなイメージを抱いているでしょうか。おそらくその認識に変化があったという方が多いと思います。その背景には、「推し活」がユーキャンの新語・流行語大賞にノミネートされ、人々に広く知られるようになったことやアパレルブランドや雑貨屋などがペンライトケースや「推しごと」バックなどが商品として販売するといった環境の変化が大きいでしょう。社会がこれらを積極的に受け入れるように変わったということです。

 

最後に、そんな推し活の経験からエンターテイメントの世界での変化を紹介します。筆者は先日、異なる2つの舞台を鑑賞しました。1作目は歌のない舞台、2作目はミュージカルで、そのストーリーは全く異なるものでした。ですが、どちらもその演出に「プロジェクター」を使っていました。主人公たちが読み上げる手紙の内容や他言語の翻訳にそれぞれ活用されていました。これまでであれば、主人公たちと同じ目線を同じタイミングで共有することは難しかったと思います。しかし、新たな技術が導入したことによって、よりストーリーに誘い込む演出が可能になりました。もし、翻訳の場面がプロジェクターでの演出ではなく、キャストによるナレーションだったとしたら、その場面の雰囲気を崩し、物語に夢中になることはなかったでしょう。また、本来一つの場所しか表現できないセットであってもプロジェクターを用いることで多様な場所を表現できるようになりました。これが舞台芸術の在り方を変化させるだろうという期待を持ちました。

 

世間には、「平成」ファッションやロングブーツなど過去への回帰の動きも見られます。しかし、それらに対する価値観や意味は、社会の変化とともに変わっているでしょう。筆者自身もまさか自分がオタクの仲間入りをするとは思ってもいませんでした。しかし、今では推し活を日々の楽しみとして、これまでの自分だったらできなかったような新たな経験をたくさんしています。人も少しのきっかけで大きく変わるものです。

 

季節の変わり目に感じた様々な「変化」について筆者なりまとめてみましたが、みなさんは何を思うでしょうか。

 

参考記事

10月26日付 読売新聞朝刊 (大阪13版)1面 「地球を読む 高市首相 サッチャーになれるか」

19面 「with style」