昨日10月13日、184日間にわたった大阪・関西万博が、ついに幕を閉じました。総来場者数は2500万人を超え、閉幕を惜しむ声が相次いでいます。
私たち「あらたにす」のメンバーも、会期末が近づいた直前の9月16日に合同取材で現地を訪れました。実は、私は約2ヶ月前の7月17日にも一度来場していたため、「秋になれば、少しは空いてくるだろう」と予想していました。しかし、その期待は大きく良い意味で裏切られました。開場時間にはすでに長蛇の列ができており、夕方になると時間差で入場してくる来場者も加わって、体感では7月の倍近い賑わいでした。多くのパビリオンで入場規制がかかり、人気館は列に並ぶだけでも一苦労。数カ所しか回ることができませんでした。
ごみをエネルギーに変える日本館
この日、入場して真っ先に向かったのは日本館です。幸い20分ほどの待ち時間で入ることができました。日本館のテーマは「いのちと、いのちの、あいだに」。そのテーマ通り、円を描くように進む見学ルート全体で「循環」を体感できる作りになっています。
特に象徴的だったのが、館内で出た生ごみを分解して水とバイオガスに変換し、エネルギーとして再活用する仕組みです。そのための巨大なバイオガスプラントが展示の最後に設置されており、日本館は「ごみを食べるパビリオン」とも呼ばれていました。
このバイオガスは、環境省によれば「微生物の力を使って生ごみや紙ごみなどから発生する」とのことで、主成分のメタンは発電に利用できます。この分解プロセスでは多くの細菌や「藻」が活躍するそうで、実際に館内の展示では、藻が様々な形で登場していました。
藻のドレスをまとったハローキティ
藻をテーマにしたハローキティとのコラボレーション展示は、多くの人で賑わっていました。様々な種類の藻をモチーフにしたコスチュームを着たハローキティのオブジェが並んでおり、思った以上に大きく、作り込みも非常に繊細です。一体ずつ詳しい解説が付いているので、「このキティは何の藻だろう?」と予想してから答え合わせをするのが、クイズのようでとても楽しめました。周囲からも、それぞれのお気に入りのコスチュームについて語り合う声が聞こえてきました。
宇宙からの贈り物、火星の石
続いて「火星の循環」をテーマにした展示では、本物の火星の石が来場者の注目を集めていました。多くの人が一目見ようと詰めかけ、熱心にカメラを向けています。解説によると、これは1969年に南極観測隊が昭和基地から約350km離れた「やまと山脈」で発見した火星由来の隕石とのこと。一見すると何の変哲もない岩ですが、「これが火星から来たのだ」と思うだけで、途方もない時間を旅してきた壮大な存在に見えてくるから不思議です。
閉幕、そして未来へ
開催中は様々な意見がありましたが、終わってみれば多くの人々の記憶に深く刻まれるイベントになったのではないでしょうか。万博が残した未来へのテーマを、私たちも考え続けていきたいと思います。次回の万博は、2030年にサウジアラビアのリヤドで開催されます。次回の万博も多くの人に愛される集いであってほしいと願っています。
参考
メタンガス化が何かを知るための情報サイト:環境省
https://www.env.go.jp/recycle/waste/biomass/whatisbiogass.html
「南極観測隊」が発見! 火星の石に秘められた約1000万年前の物語丨大阪・関西万博 日本館公式サイト
https://2025-japan-pavilion.go.jp/article/mars-stone/