閉幕まであと3週間となった大阪・関西万博。入場の予約枠が埋まるなど、盛り上がりは最高潮となっています。9月16日、あらたにすの万博合同取材として万博を訪れました。約12時間滞在し、とても楽しむことができました。今回は、印象に残っているパビリオンについてお伝えします。
午前9時半ごろに入場し、急ぎ足で向かったのは日本館です。朝一番なら予約なしでも入場することができました。日本館のテーマは「いのちと、いのちの、あいだに」。循環をテーマにした展示が見どころです。外観は環状に木の板が立てられている構造で、万博終了後に建材を再利用できると紹介されていました。
日本館にはバイオガスプラントがあります。ここでは万博会場内の生ごみを集めて発酵させ、水やバイオガスに分解します。ガスは回収され、発電に用いられているそうです。得られた電力はバイオガスプラントの電源として生かされ、水は日本館の中央にある水盤に入れられます。水盤は写真スポットになっていましたが、ごみから生み出されたとは思えないほど透明な水です。
また、藻の形をしたハローキティの展示も見どころの一つです。ハローキティはすべて緑色で、ミカヅキモやコンブ、マリモなどに変身しています。また、藻類のたんぱく質の生産効率が大豆の36倍であること、CO2の吸収量が杉の14倍であることなどが紹介されていました。日本館は循環に焦点を当てた展示で、環境に配慮した取り組みがいくつも見られました。
次に印象に残ったのは、コモンズです。コモンズはいくつかの国のブースが集まっている共同館です。筆者が訪れたのはB館とC館で、主にアフリカやオセアニアの個性豊かな国々の文化を知ることができました。
ウクライナパビリオンの前には、国内で実際に使われている製品が展示されています。「戦時中であっても、ウクライナの企業は変化し、革新を続けています」との文にハッとしました。銃撃で穴が開いたサイレンも展示されており、戦争について考えさせられる展示となっています。
もう一つ印象的だったのはジブチパビリオンです。勉強していたフランス語が書いてあったためフランス語圏の国なのか訪ねてみると、スタッフの方に「ジブチは昔、フランスの植民地だったんですよ」と教えていただきました。ジブチは「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ大陸東部にある国で、フランス語とアラビア語が話されています。
海賊の被害が多く、自衛隊が唯一の海外拠点を置いている国でもあります。最高気温が70度を超えたこともあると聞き、とても驚きました。今まで国名しか知りませんでしたが、街を撮った写真パネルや民族衣装の展示を見て興味が湧きました。コモンズは比較的早く入館できるうえ、知らなかった国の文化や技術を知れてとても有意義な時間を過ごしました。
筆者は万博に2回訪れ、満喫することができました。開催前には建設費用やチケットの買い方などについて批判が多く、正直敬遠していました。訪れてみるととても楽しかった一方で、待ち時間の長さなど批判通りのこともありました。新たなことを自分で実際に体験してみる大切さを学んだ気がします。
万博を通じて、世界各国の文化を知れただけでなく、新技術や環境への取り組みなど、未来に向けた営みについても考えることができました。万博会場のように世界が一体となり、課題を解決していけるのか、注目していたいです。
参考記事
4月19日付 日経電子版「大阪万博ウクライナ館、自由・尊厳テーマに展示」
9月25日付 日経電子版「大阪万博入場券、月内に販売終了 未使用チケットの引き換えを優先」
参考資料