Aさん「選挙行くぅ?」
Bさん「私住民票こっちに移してないから今回も選挙行けないんだよね…」
Aさん「そうなんだー、それじゃあ仕方ないね」
大学生の皆さん、こんな話を聞いたことはありませんか。「まさに私はBさん」という読者の方もいらっしゃると思います。そんな方に耳より情報、日本には住民票を移していなくても投票できる仕組みがあります。今回は意外と知られていない「不在者投票」について取り上げます。
事前投票には「不在者投票」と「期日前投票」がありますが、ふたつは似ているけれど別の制度。「期日前投票」は、投票日にやむを得ない事情があって投票できない人のために事前投票を認めた制度です。期日前投票の認知度は年々高まり、最近の国政選挙では投票者総数に占める割合も2割近くになっています。期日前投票は、選挙人名簿に登録されている区市町村で手続きをします。一方の「不在者投票」は仕事先・旅行先などの滞在地の区市町村選挙管理委員会が窓口です。こちらは認知度・利用度ともにまだ低い状態です。
若年層の投票率は低い状態が続いています。平成24年度の衆院選の20代の投票率は37.89%と全体や他の年代と比べてもかなり低い水準です(全体平均は59.32%、最も高い60代は74.93%)。その結果、政治家は高齢層へ向けた政策を多く考え、若年層へ向けた政策は後回しとなるのです。東北大学の吉田浩教授の試算によると、若年層の投票率が1%下がると若年層1人あたり年間13万円の損をするそうです。冒頭のBさんのように「住民票を移していないから投票できない」という人は、不在者投票制度を利用してみませんか。
不在者投票の手順を見ていきましょう。
①投票用紙・投票用封筒の請求
選挙人名簿に登録されている区市町村の選挙管理委員長に対して、直接又は郵便等で投票用紙と投票用封筒を請求する。
②投票用紙・投票用封筒・不在者投票証明書の交付
不在者投票事由があると認められると、投票用紙と投票用封筒のほか、不在者投票証明書が交付される。
③投票
投票用紙などの交付を受けたら、それを持って公示日又は公示日の翌日から投票日の前日までに、滞在先の区市町村選挙管理委員会に行く。不在者投票記載場所で投票用紙に記入し、封をする。
④不在者投票管理者へ提出
「思ったより面倒だな…」と感じられた方も多いかもしれませんが、「住民票を移していないから投票できない」と諦めていたアナタ、貴重な一票を無駄にしないためにも利用してみてはいかがですか?
※不在者投票の仕組みは、自治体によって若干異なることがあります。利用する際には、住民票のある自治体・現在住んでいる自治体のHPなどで必ず確認してください。
参考:
東京都選挙管理委員会HP
11/26日付け日経新聞朝刊「投票率1%低下なら若者1人13万円損の試算」