【特集】働き方革命前夜

「今月召集する通常国会は働き方改革国会だ。子育て、介護などそれぞれの事情に応じた多様な働き方を可能にすることで、一億総活躍社会を実現する」。安倍首相は今年の年頭会見でこのように述べました。

最近、至るところで聞く「働き方改革」のワード。これからの社会はどうなっていくのでしょうか。

2016年の10月に出版され、反響を呼んでいるリンダ・グラットン氏の「LIFE SHIFT」(東洋経済新報社)では、これからは「教育」「勤労」「引退」の3ステージ制の人生は終焉し、旅や留学などの経験を通じ、自らの針路を幅広くとって模索する「エクスプローラー(探検者)」、キャリアを外れ、自分でビジネスを起こす「インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)」、そして色々な仕事や活動に同時並行で携わる「ポートフォリオ・ワーカー」などが登場するだろうと言われています。

つまり、大学を卒業すれば「就社」し1社で定年まで勤め上げ、「定年」になったら仕事を辞めて余生を楽しむ・・といったように、みんなが「同じ時期」に「同じこと」をするといったことはなくなり、1人ひとりが違った働き方をしながら生活するのが当たり前の世界がやってくるだろうということです。

5日から20日にかけて読売新聞に掲載された特集「はたらく2018」ではまさにこうした働き方をしている人が取り上げられています。例えば、ウェブ広告の営業をする傍らアニメや映画など、コンテンツを活用したビジネスのコンサルタントをしている方が取り上げられていましたが、彼はまさに「ポートフォリオ・ワーカー」であると言えるでしょう。

日本の大学を中退し、ノルウェーの大学に進学した人、卒業後就職するのではなくアメリカへ留学する人、起業し就活とは無縁で大学を卒業する人―私の周りの友人や知人を見ても、今までの「3ステージ制」の時代には考えられなかった生き方をしている人が多くいると感じます。私は現在、就職活動を行っていますが、それは「大学3回生になったから」「周囲が就職活動をしているから」というよりは「自分の持つ様々な選択肢を考慮した上で『就職する』ことが最も自分にとっての最善の選択であると考えたから」だと考えています。しかし、今まさに私がやっているような、黒いリクルートスーツを着て就活生の沢山いる合同説明会に赴き、熱心に企業についてメモをとる・・・といったことは近い将来になくなるかもしれません。

安倍首相は年頭の記者会見で「歴史的な大改革に挑戦する」と言っています。ひょっとするとこの先2、3年で働き方は大幅に変わるかもしれません。その変化を見落とさないように注意深く見守りたいものです。そしてこうした「時代の流れ」にしっかりついていくことのできる企業であるかをしっかり見極め、就職活動にあたりたいと思います。

参考記事

5日付読売新聞朝刊(京都13版)11面(経済)「「異端児」企業に新風」

6日付読売新聞朝刊(京都13版)9面(経済)「後継ぎ 家業「革新」」

9日付読売新聞朝刊(京都14版)7面(経済)「生涯現役 意欲の限り」

10日付読売新聞朝刊(京都13版)11面(経済)「学び直しで新たな私」

11日付読売新聞朝刊(京都13版)9面(経済)「学生 起業も選択肢」

13日付読売新聞朝刊(京都13版)9面(経済)「さらば安定 新天地へ」

18日付読売新聞朝刊(京都13版)9面(経済)「復帰組 古巣変える」

20日付読売新聞朝刊(京都13版)11面(経済)「強み生かし複数の足」

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