ラグビー日本代表はグループステージ最終日の13日、強敵スコットランドと対戦。結果、28対21で見事に勝利を飾り、史上初の決勝トーナメント進出を決めました。全国民が喜ぶなか、ある人はこう言います。
「結局、大会が終わったらファンなんて減るでしょ」
いわゆる「にわかファン」を指しているのでしょう。ブームに乗っかって騒ぐだけ騒いだ後、何もなかったかのように去って行く人たち。しばしば批判の対象になり、自虐ネタとしても使われるようになりました。
ここで疑問なのですが、なぜ私たちはファンを階層化させるのでしょうか。ある物事に対して興味がある、応援したいという気持ちは共通してあるはずです。しかし、「何も知らないくせに」「偉そうに語るな」といった冷たい言葉を浴びせられます。
では、オタクや古参ファンは偉いと言えるのでしょうか。私は「いいえ」と答えます。なぜなら、愛情に上も下もないと考えているからです。
その愛情を間違って解釈している人が多いと感じます。つまり、「愛情=知識量×ファン歴」のような、分かりやすい年功序列の考えが蔓延っています。そして、それが自分の武器だと認識し、SNSのような場で振り回しているところをよく見かけます。
しかし、その武器は他人だけでなく、文化やコンテンツなどにも傷をつけてしまいます。おそらく本人にとっては、正義に則った行為なのでしょう。それが結果としてどうなるのかを、自覚する必要があります。
ある物事が長く続いていくには、支えてくれるファンの存在が不可欠です。しかし、勝手なランク付けや、差別的な呼称を作るといった行為は今すぐ止めるべきです。何千、何万もの人が集まって、一緒に応援する機会は滅多にありません。言葉の枠組みに縛られることなく、同じ愛を持つ人と共に楽しむ姿勢こそ、本来のファンのあり方です。
なので、私は「ファン」の一員として、ラグビー日本代表を全力で応援します。
参考記事:
14日付 読売新聞朝刊(大阪13版)36面「見たか 日本の実力」