筆者の大学の近くには、安くて美味しい焼き鳥屋があります。もういくら食べても飽きない!そう思い、友人を連れ何度も訪れていました。しかし、二週連続で行ったとき「もうしばらくはいいかな」。ついに飽きが…。それ以降、足が遠のいています。
「いやいや、いくら美味しくても二週連続で行ったら流石に飽きるでしょ(笑)」
友人に呆れられましたが、彼女の手には毎日のようにコンビニ飯。なぜ「それなりに」美味しいコンビニ飯はリピートし続けるのに、「とても」美味しい焼き鳥は飽きが来てしまうのでしょうか。答えが今朝の日経に載っていました。
おいしすぎては売れない
チキンラーメンの生みの親、安藤百福氏の言葉です。味のインパクトが強すぎると、当分リピートはしないと指摘しています。確かに美味しすぎるレストランのご飯は、頻繁に食べようとは思いません。味を覚えているからです。すぐにではなく、時間があいたら再訪しようと思う人が多いのではないでしょうか。筆者自身、頻繁に訪れると飽きが来ることを体感しています。美味しいことも大事ですが、売り続けるには「飽きない」ことが第一条件のようです。
では飽きない味とはなにか。オリジン東秀の創業者は次のように述べています。
毎日食べても飽きない味は「うす味」であり、「濃い味」は飽きてしまう。お客さまが自ら味をプラスできる程度がちょうどいい
最近では、コンビニ飯のアレンジレシピがTwitterで出回っています。またチキンラーメンは、HPにアレンジレシピが多数掲載されています。筆者のお気に入りは酸辣湯風。酢とラー油で作ると暑い夏にはピッタリのさっぱりとした味に変身します。「ちょい足し」で、一つの商品で味のレパートリーが増やせることもヒットの秘密のようです。
「がつんと記憶に残る美味しい味より、飽きない味」。とことん飽きない味を追求した彼らの術中にはまり、今日も多くの人がコンビニに足を運んでいることでしょう。
20日付 日本経済新聞(東京11版) 15面 「ヒットのクスリ 飽きない総菜、『記憶』薄く