皆さんが考える勉強の妨げになるものは何でしょうか?筆者にとってはスマートフォンです。友人との会話に漫画や映画鑑賞。そしてゲーム。一台で、様々なコンテンツを楽しむことが出来ます。誘惑の塊といっても過言ではありません。
手軽に持ち運べるこの端末、ただ楽しむだけのものではありません。厄介なことに、勉強の手助けにもなるのです。分からないことは、先生に直接聞かなくても、「Google先生」によって大抵解決することが出来ます(と思っている生徒が一定数います)。また、単語テストや勉強時間を管理するものなどアプリケーションも充実しています。もちろん、これらを上手に活用したら、学力アップの強い味方になるでしょう。
事実、勉強時間管理のアプリを使い、同じ志望校の人と互いの勉強時間を競うことで、モチベーションを上げることに成功した友人もいました。ですが、調べものをしようと思っていたら、いつの間にか娯楽に走り、1時間経ってしまった、などという経験をした人も少なくないはずです。
かく言う筆者もその一人。単語アプリを使っていたこともありましたが、ネットサーフィンに走ってしまい、あっという間に時が過ぎてしまうこともしばしば。受験期は、自室から一番遠いリビングに置くことで、目に触れないようにしました。大学の友人も、受験期はバッテリー残量を常に10%にして、長時間稼働することが出来ないようにするなどの対策を取っていました。いくら勉強の手助けをしてくれても、誘惑の力が強力で打ち勝つことが難しいのが実情でしょう。
学生の多くがスマホを持つようになったこのご時世、勉強へのモチベーションを維持することが難しくなっていると感じています。周りは、「今」を楽しむツールで溢れています。楽しんだ後の勉強を、ネットで調べて簡単に終わらせてしまうこともできます。「Google先生」の知識量は計り知れません。目の前の問題を解くには十分でしょう。ですが、なぜそう解くか、理解することを怠れば、似たような問題も結局解けず、また「ググる」ことになります。それでは、学習したとは言えません。ただ「模写」をしただけです。それを「勉強」と思っている学生もいるのではないでしょうか。
プログラミング教育の必修化に、大学入試改革。変わりゆく社会に乗り遅れないよう、政府は教育制度の変革に躍起になっています。しかし、学ぶ生徒側の意識が追い付かなければ意味がありません。今朝の日経新聞では、浜中淳子早稲田大学教授が次のようなことを述べていました。
私たち大人は、疑いもなく「大学入試を変えれば、高校生の学びは変わる」と語ってきた。しかしそれは「真」なのだろうか。入試改革以前にやるべきことがあるのではないか。
今までの経験から、筆者はスマホとのうまい付き合い方を見つけることが学習姿勢を改める一つの手だと考えます。スマホをいじる時間について見直す。簡単に答えが得られるようになった時代だからこそ、参考書を隣に自分で答えを導く「学び」について改めて考える。
スマホとどう付き合うかまで教わらなければならないのか。甘えず、自制すべきだとの批判の声が聞こえてきます。ですが、大人も夢中になるのです。電車でも道端でも、小さな画面に多くの大人がくぎ付けになっています。「誘惑の塊」に打ち勝つために、社会人も一緒になって学生と「スマホ」との付き合い方について考えるべきではないでしょうか。
参考記事
8月12日付 日本経済新聞(13版)14面「2020年度の大学入試改革 高校生「学習離れ」防げず」