自分の身の丈にあった行動をする

 目的を達成するためには、自分を知り、それに見合った行動をすることが最も大切だと考えます。

 自民・公明の両党が20日安全保障法制について正式合意しました。これに対し多くの人が、戦争に巻き込まれたり、戦死者が出たりする不安を感じています。この法制は確実に自衛隊にとってリスクとなるでしょう。そうした危険を負ってでも、目的がきちんと達成できるのか。それならば話は別だと思います。

 論ずるべきは、日本の目的がきちんと達成できるか、ということです。日本の国益である、米国からの信頼と同盟の維持はこの法制によって獲得できるのでしょうか。

 読売新聞では前駐米大使の藤崎氏が、日米ガイドラインの見直しや周辺事態法の制定を行った背景について、1991年の湾岸戦争後の自衛隊の活動後に諸外国から「札束外交」という批判を受けたことにあると述べます。つまり、今回の法制も以前と同じように海外からどう思われたいかということではないでしょうか。同盟国としてきちんと認められたいわけです。

 それでは、この法制により、日本の目的は達成できるのでしょうか。たしかに、ありがたいという気持ちは生まれます。ただ、対等のパートナーとして認められるか、というのは別の話です。

 朝日新聞では、元内閣官房副長官補の柳沢氏が「日本は大国ではない。ミドルパワーと認識すべき」と述べています。私も同感で、ミドルパワーであることを認め、そのような外交をするほうが賢いと考えます。つまり、どんなに関わったとしても、日本はありがたい国と思われるだけであり、パートナーとなることはできないのではないでしょうか。

 私が留学していたオーストラリアでは自国をミドルパワーと位置づけ、その位置づけからの外交方針を模索しています。日本は、もちろん「大国」になるために経済力を高める努力を続ける必要はありますが、同時に「ミドルパワー」としての新たな外交方針を議論していく必要があると考えます。

 ミドルパワーである日本が、米国に同盟国として認められるためには、現段階での安保法制は効果的なのか。皆さんはどうお考えになりますか。

参考記事:

21日付 読売新聞朝刊(12版)解説面「安保法制与党合意 専門家に聞く」

21日付 朝日新聞朝刊(12版)オピニオン面「これからの安全保障」