「けがしてなんぼ」とか言われる時代は終わったのかな~
先日、友人とこんな話になりました。
「かすり傷のひとつやふたつ作って痛いことを学ばないと、大きくなって自分で色々動き回れるようになったとき、大怪我をしてしまうかもしれない」
「けがしてなんぼ」とは、そんな意識から生まれた言葉でしょう。しかし、今はかすり傷にすら過剰に反応するなど、おおらかさが失われているように感じます。
筆者は幼い頃、ジャングルジムやうんていで遊んでいました。落ちて腰を打ったり、てっぺんに着いたことで気が緩んだからか、降りるとき手を滑らせ落ちたり。それなりに怪我をして、こうやって遊んだら危ないんだ、気を付けようと学んで育ちました。その頃は、近くの公園や校庭には遊具が充実しており、外で遊ぶ機会に恵まれていました。
ですが10年程前からでしょうか。自宅前の小さな公園では、遊具を撤去したり、また増設したりと工事を繰り返しています。「危ない」という声を受け撤去すると、今度は子供が遊べないことへの不満が広がる。工事の数は、公園を管理する側も何が正解か悩みもがいている様子を映しているようでした。
子どもに怪我はさせたくない。だからといって、遊具を取り上げたいかと言われるとそういうわけではない。危険性のある遊具のみ撤去したいが、その線引きが難しい。子を思う親、遊具を設置する側、双方悩んでいるように思います。
近年、遊具による落下事故が目立っています。14年度から16年度の学校事故の分析によれば、小学校で年間平均2万7千件超、幼稚園・保育園で1万3千件近く起きているようです。国内では国土交通省の方針を踏まえて、日本公園施設業務会が具体的な数値を盛り込んだ安全基準を示しています。それにも関わらず、協会理事で安全基準作りの中心を担った遊具メーカー丸山製作所(東京)社長の丸山智正さんによると、遊具の安全基準にまで目が届いていないことが少なくないようです。実際、死亡事故や重症者が出たケースを見ると、劣化の調査は定期的にしていても、基準を満たすかまでは調べていませんでした。
そもそも遊具がなければ、怪我しなくて済むじゃないか。そこまで極端に走るべきではありません。安心して遊ばせることが出来るように、基準があるのだから満たしているかの確認を徹底すべきです。親御さんは危うい実態を知れば不安に駆られ、過敏になっているのかもしれません。
「けがしてなんぼ」と胸を張って言いたいものです。改善する余地は少なくありません。
参考記事
19日付 朝日新聞朝刊(東京14版)社会31面「その遊具、安全?」