海外旅行に潜む危険性

GW10連休の最中に海外旅行に行かれる方は多いことでしょう。JTBの旅行動向見通しによると、今年のGW中の海外旅行者は過去最大の66.2万人になる見通しです。うち、韓国や中国を始めとするアジア地域が合計41.8万人、欧州地域が5.9万人となっています。

そのようななか、内外に大きなショックが走りました。南アジアの島国スリランカで同時爆破テロが起きたのです。事件から2日経過し凄惨な被害状況が判明し、新聞各紙も詳細を報じています。死者は合計290人超、日本人の死傷者も5名含まれているそうです。そして、スリランカ政府によると、イスラム過激派組織がこのテロに関与した可能性が高いとのことです。

近年は、中東地域を除くアジアやヨーロッパでは、イスラム過激派によるテロ事件をあまり聞いていませんでした。それだけに衝撃を覚えました。3、4年程前は、シリアやイラクでイスラム過激派組織「イスラム国(ISIL)」が活動していました。それに世界各地の過激思想を持つ勢力が共鳴し、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギーなどでテロを起こしました。16年にはバングラデシュで日本人7人が犠牲になったレストラン襲撃人質テロ事件もありました。しかし、世界各国でテロ対策や情報の共有が強められたためか、去年は中東地域の外で大規模なテロ事件を聞くことはありませんでした。

スリランカでも10年前まで内戦がありました。しかし、近年は大規模なテロが起こることもなく政治的に安定していると、長期滞在の経験を持つ友人から聞いていました。外務省の海外安全ホームページでは、ロシアやフィリピン、インドネシア等と同じ「レベル1」に該当しており、去年は年間約5万人の日本人が観光に訪れています。それだけに、海外で「絶対の安全」はないと改めて実感させられました。

テロを事前に察知し避けるのは非常に難しいことですが、テロ直面のリスクを最大限避けるために、何をすべきか調べてみました。

外務省によると、

  • テロの標的となりやすい場所(デパートや市場、観光・リゾート施設、公共交通機関など不特定多数の人が集まる場所、欧米関連施設や宗教関連施設など)を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら速やかにその場を離れる。
  • 大規模デモには反政府主義者等の過激分子が紛れている場合があるので、不用意に近づかない。
  • 政府、軍、警察関係施設及び主要国大使館はテロ攻撃の対象となりやすいので、出来るだけ近づかない
  • 複数の爆弾が時間差で爆発することも想定されることから、爆発現場には近づかない。
  • 爆弾事件や不測の事態が発生した場合の対応策を再点検し、状況に応じて適切な安全対策が講じられるよう心がける。
  • 滞在先近くで爆発や銃撃戦等が発生した場合は直ちに安全な場所に避難し、その場にとどまらない。

などを挙げています。

せっかくの海外旅行です。怯えてばかりでは楽しめませんが、上の注意書きを頭の片隅に入れておくと良いかもしれませんね。また、海外にはテロのリスクだけでなく、スリ、置き引きなどの軽犯罪に遭う、感染症に感染するといったリスクもあります。渡航前に、現地の情報を十分に確認して、万が一の出来事に備えるようにしましょう。

では、楽しい旅行を。

 

参考記事:

23日付 読売新聞朝刊(大阪13版)1面「テロ イスラム過激派か」

同日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「イスラム過激派テロ」

 

参考ウェブページ:

日本経済新聞「GW旅行者が過去最高、JTB 10連休で海外人気」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43333950U9A400C1000000/

外務省 海外安全ホームページ

https://www.anzen.mofa.go.jp