愛煙家には申し訳ないのですが、たばこのあの独特のにおいがどうしても受け入れられません。喫煙者が同席している、あるいは付近にいる食事の席では、心なしか食べ物の味が感じられないような気さえします。同伴者ならまだしも、知らない人に「煙たいのでやめて頂けますか」とは言えないので、ただただ我慢するしかありません。最初から禁煙や分煙の環境を選ぶようにしていますが、まだまだ未整備な店が多いのが現状です。
昨年、受動喫煙対策を強化する改正健康促進法が成立しました。今年7月以降、学校や病院、行政機関などで敷地内禁煙が原則的に義務付けられます。それに伴い、新年度を迎えた多くの大学でキャンパスでの喫煙を禁止する動きが目立っています。今年3月時点で敷地内を全面禁煙にしていた大学は、全782校のおよそ4分の1にあたる197大学。高知大や佐賀大など8大学が4月から、滋賀大や九州大、広島大でも5月以降から予定されています。
一方、先駆けて禁煙にしたものの分煙に戻す学校もあります。龍谷大では、2009年4月に敷地内を全面禁煙にしたところ、校門付近や近所の路上で学生が吸うようになり、住民から吸い殻などに関する苦情が殺到。10年9月、受動喫煙対策に方針を転換し、密閉型の喫煙所を6つ設けました。山形大の小白川キャンパスや秋田大の手形キャンパスでも、一度喫煙を禁止にしたものの同様の理由から分煙に変えています。
私が通っている大学のキャンパスでは、2年ほど前に喫煙所が減りました。その結果、残された屋外喫煙所に人が集中し、周囲に煙が拡散。既存の灰皿では間に合わず、吸い殻が周囲に散乱するようになりました。しびれを切らした非喫煙者と一部の喫煙者との間で摩擦が起き、SNS上で煽るような発言や言い争う姿が見受けられたこともあります。私自身も、隣接する部室に向かうたび、息を止めながら急ぎ足で通り過ぎるのが苦痛でなりませんでした。
個人的には、吸いたい人が吸うのは自由だし、構わないと思っています。批判することで喫煙者を迫害したいわけでは決してありません。でも、分煙とマナーが徹底されない限り、非喫煙者から見るたばこは害悪そのものです。受動喫煙の影響の大きさは周知の事実であり、吸い殻のポイ捨てなどモラルが問われる行為も多数見かけます。たとえ一部だとしても、ルールが守られないのであれば、罰則を強化して規則を守らない学生を取り締まるのも一つの選択です。学生の健康を守り、大学のイメージ向上につながります。分煙を選ぶなら、大学は密閉型の喫煙所を設けるなど徹底して受動喫煙対策をとるべきです。
平成が終わろうとしている今なお悩ましいたばこ。煙も問題もいつになったらモヤモヤが晴れるのでしょうか。
参考記事
21日付 朝日新聞朝刊(東京14版)1面「禁煙か分煙か 大学モヤモヤ」