いつになってもなくならない「いじめ」。新聞やテレビで報道されると、悲しい気持ちでいっぱいになると同時に、「なぜ被害者を守れなかったのか」と怒りに近い感情にもなります。よく「いじめられる側にも問題がある」と言いますが、この無責任で他人事であるかのような言葉は無くすべきです。いじめの原因は単なる後付けです。その原因を被害者に押しつけるのは如何なものでしょうか。私がここまで激しく主張するのは、元被害者であったからです。なので、読者の皆さんにどうしても伝えたいのです。
2017年、兵庫県多可町で町立小学校の女児(当時10歳)が自殺しました。その最大要因は「いじめ」。内容は仲間外れや、グループ外の生徒と遊ばせないように監視するなど、極めて卑劣なものです。さらに、学校側の対応の悪さも関係しています。「心と体のアンケート」と称するストレスチェックを実施し、女児の数値に異常を感じていたものの、ただ様子を見るだけという対応に終始しました。
これだけ見ると、「学校が完全に悪いじゃないか」と思うかもしれませんが、私は違います。家族にも多少なり問題があります。まず、いじめは「学校」と「家族」、どちらの問題でしょうか。私は専ら「家族」の問題だと考えます。
では次に、「家族」か「個人」であればどちらでしょうか。これも「家族」だと答えます。そもそも、いじめの責任を学校や第三者委員会に求めること自体、間違っています。被害者の両親が直接、加害者の両親と会って話をする。その学校をやめて転校する。このような行動を起こさなくてはいけません。被害者である子どもは「絶対的なヒーロー」が助けてくれることを待ち望んでいます。そのヒーローが「家族」であると、どれだけ安心することか。
実際に経験した身としては、なかなか他人に相談しようとは思いませんでした。電話で悩みを聞いてくれるサービス、担任の先生、どれも信頼できません。「なぜ自分の性格さえあまり理解していない大人に助けを求めなくてはいけないのか」と疑問に感じていました。やはり、生まれてからずっと寄り添ってきた家族だからこそ出来ることがあります。
そして、いじめは早期解決が肝心です。お子様が帰ってきたとき、何か不審な点はありませんでしたか。「ずっとため息をついているなぁ」「足を怪我しているけど何かあったのかなぁ」など、ちょっとしたSOSのサインに気付いたら、いち早く対応することです。そして、親から「どうしたの」と一言かけましょう。初めは「うるさい!」などと反抗的な態度をとるかもしれませんが、ここはグッとこらえて何度も、何日も話しかけることが重要です。いつか本当のことをポロッと話すかもしれません。
何度も言いますが、いじめは「家族」の問題です。第三者に任せるようなことはやめましょう。
参考記事:
16日付 朝日新聞朝刊 14版37面「「いじめ、最大要因」」
同日付 読売新聞朝刊 13版38面「小5自殺 「最大要因いじめ」」
同日付 日本経済新聞朝刊 14版39面「女児自殺 「いじめ 最大要因」」