4月6日は「新聞をヨム日」  新聞から日常を読み解く

商店街を仲良さそうに歩くカップル。その近くを、自転車のかごいっぱいにぬいぐるみを入れて、ご老人が走り去っていく。

▲日本経済新聞電子版より

日本経済新聞の「見えてきた?」シリーズである。一見、何気ない日常のひとコマを切り取っただけのシュールなCM。だが、ありふれた生活にも、経済は常に絡み、新しい社会の仕組みがある。このことを新聞を読む人は、変わりゆく毎日から発見出来る。そうした背景を15秒間で端的に表した、最近のお気に入り作だ。

▲日本経済新聞電子版より

ちなみに、ポイントはぬいぐるみを載せた自転車のご老人。「人生100年時代」と言われるこのご時世、ゲームセンターが、お年寄りのコミュニティーのひとつになってきていることを示している。新しい高齢者を取り巻く環境、「見えてきた?」。

今日4月6日は、「新聞をヨム日」。読売新聞の特別面の根尾昴さんのインタビューに、

「スマートフォンやテレビの画面でニュースを見ることが苦手で、本当に大事なニュースは新聞で読む」

とあった。私自身も、ネットニュースが苦手なたちだ。ネット上では記事が常に更新され、何が大事なニュースなのか分かりにくい。そのためか、折角得た情報も記憶に残らない。

一方、新聞は一目でどれが重要度の高いニュースかが分かる。記事の大きさ、見出しの大きさで視覚に訴えるからだ。また、政府統計をめぐる記事がシリーズ化されていたように、情報を追いたいテーマは丁寧に取り上げられる。

画面をスクロールして情報を得るよりも紙をめくる方が、なんだか自分で情報を掴みにいっている実感があることも新聞を選ぶ点の一つだ。そして、読み続けることで冒頭のCMのような「見つける」体験をすることが度々ある。

たとえば、今朝のエンタメニュースで取り上げられていた「アタックZERO」のCM。売れっこ俳優5人が出演とのことで注目を集めている。実は、当商品は花王が10年振りに大型刷新し売り出したものだ。標準的な洗剤より2割ほど割高の新製品で、花王は勝負に出る。

1月23日付けの日本経済新聞にあった「デフレと戦う洗剤」の記事によれば、日用品が値下げ競争を迫られているなか、老舗ブランドが存在感を誇る洗剤だけは値下げ合戦に背を向け、商品改良の努力を各社が競い合ってきた。その結果、商品単価を継続的に上げることに成功している。

▲衣料用洗剤の店頭平均価格の推移(23日日本経済新聞電子版より)

「時短」を意識し、生まれ変わった「アタックZERO」の発売にあたり、花王の沢田社長は、

「デフレ下でも日用品に対する消費者の付加価値志向は強く、多少高い価格であっても十分使ってもらえる」(日本経済新聞)

と意気込みを述べていた。

「見えてきた?」豪華俳優陣を起用して挑んだPR。社長の商品にかける熱意が伝わってくる。宣伝効果は抜群のようだ。

参考文献:

4月6日 読売新聞朝刊(東京12版)12特別面「記事が私の力になる」

1月23日 日本経済新聞 (電子版)「デフレと戦う洗剤 花王やP&G、「時短」需要で進化」

https://pr.nikkei.com/campaign_event/2019_mietekita/
「見えてきた?人生100年」篇