親の職を決める娘の職

立憲民主党が、この春の統一地方選と夏の参議院議員選挙で、女性候補の擁立を進めています。男性議員が比較的多い自民党との差別化を図り、支持率の低迷から抜け出したいとの思惑がありそうです。

立憲民主党と言えば、25日に参議院宮城選挙区(改選数1)にフリーアナウンサーの菅原美話氏(51)を擁立する方向で調整に入りました。立憲民主党宮城県連から出馬要請を受けた菅原氏は「重く受け止める」と前向きな姿勢を見せているといいます。

さて、この菅原氏はアイドルグループ「AKB48」の元メンバーである岩田華怜さんの母親なのです。情報が瞬く間に駆け巡る現代。当然このニュースも素早く拡散されました。

「宮城県民はそんなにバカじゃない」

「知名度で起用するのはやめて」

「AKBが世間から嫌われる」

なんと。菅原氏擁立に向けた動きに批判的な意見が多く見られます。もちろん、立憲民主党の支持者と思わしき人などからは賛意も上がっていますが、あまり好印象を持っていない人が多いように見受けられました。

選挙というのは、制度への賛否はさておきその候補者が国政を担うのにふさわしいかどうかを有権者が投票で判断するというものです。過去、多くのタレント出身の政治家が誕生しました。ある人はその後知事になった一方、ある人は芸能界にすぐ戻ったり今何しているか分からない人がいるなど、タレントの参政には非常に多くの批判が付きまとっています。

かく言う私も、明らかに知名度を利用したと思われるような立候補には大反対です。だからこそ、知名度投票や人気度投票になる心配がある首相公選制にも反対の立場です。しかし、件の菅原氏は地元のフリーアナウンサーではあるものの、本人がAKB48のメンバーであるわけではありません。ただ単に娘がそうであっただけの話なのです。

家族の、しかも娘の過去の仕事で母親が批判を受ける。そんな親不孝なことがありますか。「アイドルの親だから」という理由で政治への参加を咎めることは許されません。

私は立憲民主党の支持者ではありませんし、不甲斐ない野党には不信感さえあります。しかし、それと今回の話は別。もう少し、立候補者(仮に立候補した場合)本人の政治信条や姿勢を巡って議論しませんか。子の仕事は、親の仕事を左右しません。

参考記事:

26日付読売新聞朝刊14版 4面(政治) 「立民 女性擁立に懸命」