広島の原爆の被害者は日本人だけではない。
先日、筆者は広島の平和記念資料館で行われている被爆体験伝承講話で、韓国人の被爆者の方からお話を聞きました。当時、軍事施設が多くあった広島には朝鮮半島からの労働者も多くいたそうです。平和記念公園には韓国人原爆犠牲者慰霊碑が建てられています。
広島の原爆被害は有名ですが、日本が推し進めた戦争により、他の民族にも被害を与えてしまった過去も伝えていかなければならないことではないでしょうか。そして、同じような出来事は今なお起きていることも知らなければなりません。
「危険とわかれば来なかった」
今日の朝日新聞朝刊に掲載されていたベトナム人技能実習生の言葉です。この実習生は2015年9月にやってきました。日本に関心があり、「建設機械・土木」を学ぶはずでした。ですが、福島第一原発事故の除染作業をさせられてきたと言います。
除染作業は誰かがやらなければならないけれど、進んでやりたいと思う人は少ない仕事。核の恐ろしさを知っている日本ならなおさらです。だからといって、事情を告げずに外国人労働者にその仕事を押し付けるというのはおかしいと思うのです。記事には、多くの実習生は渡航のためにつくった借金返済のプレッシャーがあり、片言の日本語で労働者としての権利を十分訴えられない。と書かれていました。
2015年9月は原発事故から4年半が経った頃です。避難指示区域は現在よりも多くあり、放射線の強い中で作業を続けてきたことになります。何か月も除染の仕事を行えば被爆をしていてもおかしくありません。
放射線の量で原発事故と広島に投下された原子爆弾だと大きな差があることでしょう。けれど放射線の怖さは目には見えないことです。そして被爆から何年もたって病気を発症させることも少なくありません。
平和記念資料館で、戦争から何年も経過してから、髪が抜けてしまった人や火傷の後が膨れしまう人の写真を多く見ました。日本での悲劇に巻き込まれた外国人が、過去にも今現在もいることを忘れてはならないと思います。私たちの知らないところで立場の弱い外国人が悲しい思いをする現実を知ることがまず大切なことです。
参考記事:今日付 朝日新聞朝刊(13版) 9面 (経済)「けいざい+ 技能学ぶはず除染作業」